「私は志が低かった」松井秀喜が感じた大谷翔平との差 驚いた“規格外”のプロ意識
大谷は「ハンサム」「どこのユニホームでも似合う。僕の場合は限られている」
松井氏の目標、夢はチームの一員としてワールドシリーズ制覇すること。それを達成することでもすごいことだが、大谷の場合は、個人の目標においても、細かく設定している。松井氏は「首位打者を獲りたいとか個人的なものはなかったのかもしれない」と“武器”でもある思考の変化という点で、大谷と自分自身を比較してみると、そこに差があったと感じているようだ。
今年は夏頃に大谷の周辺で移籍報道が過熱すると見られる。メジャーでFAを経験し、4球団でプレーした松井氏は「大谷選手はハンサムですから。どんなユニホームでも似合う。僕の場合はかなり限られていたので」と笑う。松井氏は2010年にエンゼルス、2011年にアスレチックス、そして最後はレイズと移籍したが、プレーヤーとして全盛期の移籍ではなかったため、好条件は望めなかった。それでも最後までファンに本塁打を打って勝利する姿を見せるために戦い抜いた。
大谷の場合、ある程度の要望は契約する球団には受けてくれるだろう。講演後、報道陣の取材に応じた松井氏は「二刀流を見ていたいか?」という問いに「あくまで個人的な意見」と前置きした上でこのように述べた。
「(投打を続けていくことは)彼の気持ち次第だと思います。続けたいとなれば、ほとんどのチームはOKすると思います。見る側としては(二刀流は)夢がありますが、いい野球人生を送ることが一番大切なのではないかなと思います」
大谷との“思考の差”は確かにあった。だが、それは選手個人の“幸福”のとらえ方による。松井氏の「いい野球人生を送ること」と話したその言葉に集約されるのではないだろうか。松井氏の人生、大谷の人生……進んでいく歩幅も時代背景も、夢だって違う。思考の違い、つまり『歩む』と決めた道こそが、それぞれの強い“武器”となる。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)