村上宗隆、清宮幸太郎の“同期ドラ1”に覚醒の兆し ロッテ引っ張る6年目の「変化」
スピードボールを引っ張れるようになった昨季後半戦
ロッテの安田尚憲内野手は、入団5年目の昨季は自己最多の119試合に出場し、キャリアハイとなる9本塁打を記録した。特に後半戦はOPS.843をマークするなど大器の片りんをのぞかせた。殻を破れたのはなぜなのか。変化を検証してみたい。(数字は4月26日現在)
今季の安田は2年ぶりに開幕スタメンの座を勝ち取ると、4月14日以降はクリーンアップに定着。自身と同じく高校からドラフト1位でプロの世界に飛び込んだ平沢大河内野手や藤原恭大外野手らとともに、上位争いを繰り広げるチームを引っ張っている。
打撃に変化がみられるようになったのは昨季後半だ。前半戦までは体の近くで直球を捉えることが多く、ストレートに対する打球方向は(逆方向の)レフトからセンターが大半を占めていた。しかしシーズンが進むにつれて引っ張りの打球が増え、打撃成績も良化。左打者であれば一般的にライト方向への当たりの方が打球は飛びやすく、安田もその例に漏れず長打が増えた。
体の近くまでボールを呼び込むと見極めをしやすくなる一方で、自分のスイングを出し切れないというデメリットもある。以前の打撃スタイルは、どちらかといえば受け身になりがちで、持ち前の打棒を発揮しきれているとはいえなかっただろう。後半戦は直球に対して振り負けず、打つポイントが前になった積極的なアプローチを見せ、直球、変化球ともにスイング率が上昇。そんな中でミート力は向上しており、アグレッシブな姿勢と確実性を兼備するスラッガーに変貌していった。