“しゃぶしゃぶ接待”で「お前ら頼むぞ」 社会人入りのはずが…まさかのドラフト指名

社会人に進むか…迷った末に広島入団を決意

 プロで一番熱心だったのは大洋(現DeNA)。「大洋さんは『ドラフト外でウチに来てください。評価はそれなりにさせてもらいます』と言ってきたと親から聞きました」。1990年まで、ドラフトで指名されなかった選手と球団が直接交渉して入団できる制度としてあったドラフト外。正直、18歳は揺れ動いていたという。「2つ前(1987年)で同じ富山の高岡商から(内野手の)進藤(達哉)さんがドラフト外で大洋に入っていたのもあった。高校時代から面識もあったから、進藤さんもいるならと……」。それがまさかの広島指名だ。

「ウチの親は、ドラフト後に大洋のスカウトから(将来の指名を前提に)『それなら社会人に行ってくれないか』と言われたそうです。『それで、お前、どうする』ってなって……」。いろいろ考えた末に決めた。「せっかくカープから指名があったのだから、カープに行くよ」と。「最終的にはプロに行きたかったのだから、と思ってね。自分で決めました」。

 広島の担当スカウトは渡辺秀武氏。「あの時、ナベさんは言ってました。『鴨田さんに、浅井を横取りした感じになってすみませんでしたって謝りに行ってくる』って」。日本IBM野洲に頭を下げ、大洋に断りを入れて、広島に入団した。いろんな人にお世話になり、いろんな人に迷惑もかけて選んだ道だった。まさにドラフトで運命が変わった。

 プロ6年目に1軍で活躍し始めた頃、横浜スタジアムで見知らぬ人から「お前、やっと上がってきたな」と声をかけられたという。ドラフト当時、熱心に誘ってくれた大洋のスカウトだった。「名前も知らないし、高校の時には僕は接触していなかったから、顔を見てもわからなかったけど『お前を獲ろうとしていた』と言われた。本当に思ってくれていたんだ、とうれしかったですね」。さらに気合も入った。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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