命取りの1球は「技術的なミス」 DeNA左腕、25年ぶりのVへ導く耐え忍ぶ“生き様”

24日の巨人戦に先発したDeNA・石田建大【写真:矢口亨】
24日の巨人戦に先発したDeNA・石田建大【写真:矢口亨】

冷静判断と粘りの投球

 6回2死一、三塁のピンチで大城を迎えても「場合によっては四球で歩かせ、次の秋広(優人)選手と勝負することも視野に入れて“ニコイチ”で考えていました」と冷静だった。2球でカウント0-2と追い込むと、外角の際どいコースにストレートを3球続け、フルカウントに。最後は8球目の外角高めのカットボールで空振り三振に仕留めた。「慎重だった分、最後にいいコースに決まってくれました」と口元を綻ばせた。

「3者凡退のイニングが少なかった。もっとリズムよく投げることができれば、味方の得点につながっていたかもしれない。そこが反省点です」と振り返るが、一方で「コーチからは『ランナーを出してから粘るところが、おまえの強み』と言ってもらっています。自分も最近は『走者を出してから粘ればいい』という気持ちになっています。ホームさえ踏ませなければ、点は入りませんから」と述懐する。

 毎回のように走者を出せば、精神的な重圧は増すが、そこで耐え忍ぶのが“石田スタイル”。プロ9年目の30歳は「もちろん圧倒するピッチングがベストで、あくまでそこを目指しますが、走者を出しても粘れているのが、信頼を得ているところなのかなと思います」とうなずく。昨季から先発に専念しているが、それまでは先発でもリリーフでも、チーム事情によって目まぐるしく変わる起用に応えてきた。こうしたキャリアが、粘りの投球の礎になっているのかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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