お立ち台で異例の「すみませんでした!」 開口一番で阪神ファンに“懇願”のワケ

お立ち台に上がった西武・川越誠司(左)と宮川哲【写真:矢口亨】
お立ち台に上がった西武・川越誠司(左)と宮川哲【写真:矢口亨】

川越誠司が過ごしたドタバタの3日間…2軍戦から車を飛ばし球場へ

■西武 4ー2 阪神(1日・ベルーナドーム)

 プロ8年目の西武・川越誠司外野手は1日、本拠地ベルーナドームで行われた阪神戦で、1点リードの5回に値千金の今季1号2ラン。チームを4-2の勝利に導き、試合後はお立ち台に上がったが、普通には終わらなかった。今季の川越は波乱万丈だ。

 2点リードで9回の守備に就いた西武は、2死一塁と“1発同点”の場面で近本光司外野手を迎えた。守護神・増田達至投手のスライダーを捉えたかに見えた打球は、右翼を守る川越のやや後方へのフライ。ところがグラブに収めたウイニングボールを、背後の阪神応援席のファンの求めに応じてスタンドへ投げ入れてしまった。

 この日先発した4年目の宮川哲投手は、リリーフで通算123試合登板のキャリアがあったが、プロでの先発は初めて。記念すべき登板で勝利投手になっただけに(通算5勝目)、当然ウイニングボールを渡されるはずだった。

「言われて、初めて気付きました」と川越。ヒーローインタビューに呼ばれても、気もそぞろで、冒頭に「すみません、ちょっといいですか?」と自らマイクを握った。「あの……。宮川投手の先発初勝利のボール、阪神ファンの皆さんに渡しちゃったので……。返してください! すみません。すみませんでした」と懇願。幸い、ボールはその後、球団スタッフを通して宮川の手に渡った。

 今季の川越は、2軍でイースタン・リーグ2位(1日現在)の7本塁打を量産していたが、分厚い外野の選手層に阻まれ、なかなか1軍に呼ばれなかった。ところが5月30日、長谷川信哉外野手が「特例2023」で急きょ1軍登録を抹消され、千葉県鎌ヶ谷市でデーゲームの2軍日本ハム戦にスタメン出場中だった川越にお呼びがかかった。途中交代し、自分の車を運転してベルーナドームに駆けつけた。ただナイターの阪神戦、8回に代打で出場するも、結果は二ゴロ。「いつ呼ばれてもいいように、準備はできていました」と言うが、思わぬドタバタ劇だった。

2軍ではリーグトップの7発、ようやく訪れた1軍での出番

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