デスパイネ復帰が鷹打線にもたらす「相乗効果」 データが裏付ける途中獲得の“意義”

豪快な打撃スタイルに加え、優れた選球眼も兼ね備える

 また、デスパイネは長打力に加えて選球眼の高さも備えている。通算出塁率が.351、出塁率から打率を引いた値「IsoD」は1を超えると高水準と評価される中で0.88をマーク。さらに、四球と三振の比率を示す「BB/K」も通算で0.56に達しており、こちらも平均(おおむね0.35前後)を優に上回っている。特に2020年のBB/Kは1.091と優秀な数字だった。

 もっとも、2020年はBABIPが.191と運に恵まれなかった部分があり、打率.224と低迷したが、打撃内容自体は決して悪くなかったことがうかがえる。2021年はOPS.810とまずまずの数字を残していたものの、ISOとAB/HRの数字が低下傾向にあり、長打力にやや陰りが見られた。加えて、2022年はIsoDとBB/Kも大きく落ち込んでおり、選球眼にも不安を残す結果になっている。

 それでも、2022年は出塁率.338、長打率.444の成績を残していた。この数字は、同年のチーム平均の出塁率(.320)、長打率(.377)を上回る。今季のソフトバンクのチーム出塁率は.319、チーム長打率は.355と、前年より低下している。チーム事情を考えても、デスパイネの加入がチームにとってプラスとなる可能性は大いにあるだろう。

 昨年記録した14本塁打は、チームでは柳田悠岐外野手(24本塁打)に次いで2番目に多かった。同年に2桁本塁打を記録したのは柳田、デスパイネ、野村勇内野手の3人のみで、長打力ある選手の不足は課題となっていた。今季は近藤健介外野手が10本、柳田が9本、栗原陵矢外野手が8本を記録している。それに続くのは甲斐拓也捕手の5本、中村晃外野手、今宮健太内野手の3本と、長打力に関しては、特定の選手への依存が強まっている。

 さらに、今季は新外国人のウイリアンス・アストゥディーヨ内野手とコートニー・ホーキンス外野手がいずれも結果を残せず、2年目のフレディ・ガルビス内野手も苦しんでいる。デスパイネの復帰によって、打線に本塁打の怖さが加われば、主力選手へのマークが分散したり、攻め方が変わってきたりする可能性もあるはずだ。

 昨季はやや成績を落としていたとはいえ、それでも89試合の出場でチーム2位の本塁打数を記録。戦力面でのプラス要素もさることながら、日本でのプレー経験が長く、2017年の2冠王をはじめとした実績も豊富なデスパイネの加入は、ここまで苦しんでいる外国人選手たちにとっても、適応への大きな手助けとなるかもしれない。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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