痛恨の失敗も「盗塁しちゃいけないことはない」 原巨人が仕掛ける積極果敢な走塁

“第2次政権”下で活躍した鈴木尚広コーチ

 原監督の第2次政権時代(2006年~2015年)には、鈴木尚広・現1軍外野守備兼走塁コーチが、絶対的な足のスペシャリストとして重宝されていた。規定打席に到達したことは1度もないが、通算228盗塁を記録し、成功率は約83%を誇った。ちなみに、NPB歴代1位の1065盗塁を誇る福本豊氏でも、成功率は約78%だ。たとえば、1点ビハインドの9回、2死からでも1人走者が出れば“代走・鈴木尚広”が登場。相手を恐怖に陥れた。実際に早いカウントで二盗を決めて一打同点の局面をつくり、チームを勝利に導いたこともしばしばあった。

 今の巨人でそれに近い存在と言えば、今季成功率100%(盗塁6、盗塁死0)の重信慎之介外野手だが、打率.316と打撃も好調。この日は結局出番がなかったが、延長戦にもつれ込む可能性も十分ある展開だっただけに、もっと後で代走もしくは代打が想定されていたのかもしれない。8回に指名された門脇も、50メートル5秒8の快足の持ち主で、これまでは成功率75%(盗塁3、盗塁死1)だった。

 交流戦は17試合11勝6敗の単独首位で、残り1試合となった巨人。16試合10勝6敗の2位・DeNAに加え、17試合10勝7敗のソフトバンクとオリックスにも交流戦優勝の可能性が残ったが、原監督は「心構えとしては変わりません」と平常心を強調した。勝負所のしびれる場面でも、相手は常に盗塁警戒を怠ることができない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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