根尾昂も藤原恭大も「なぜか僕の部屋に全員」 2軍でもがく吉田輝星を支える“同期の絆”
今季1軍登板なしの吉田…迷いの中で求めた“同期の目”
2000年生まれを中心とした世代が、球界の大きな勢力となりつつある。パ・リーグの本塁打王争いを引っ張るのは万波中正(日本ハム)だ。この世代が高校3年生だった2018年夏の甲子園は大きな盛り上がりを見せた。決勝で戦ったのは、大阪桐蔭と秋田・金足農業。根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)ら超高校級のプレーヤーを擁する常勝軍団と、エース吉田輝星(日本ハム)が引っ張る県立高校という対照的な対決だった。
その後彼らは、プロ野球の世界に散った。大学へ進んだ選手も、今季からプロのユニホームに袖を通した。ただあれから5年目の初夏、主役の1人だった吉田の姿は1軍にない。昨季はリリーフとして実績を残したものの、今季は開幕から2軍暮らしが続く。
「マンチュウ(万波)も独走していますし、同い年で頑張りたいという思いはありますよ。プロでもいっぱい1軍で対戦したいなと思いますし」
西武にドラフト1位で入団してきた蛭間拓哉外野手(浦和学院ー早大)と2軍で対戦した後、吉田はこう言った。世代の絆は深い。時にはメッセージで「自分の投げたボールが、打者にはどう見えたか」を聞くこともある。春先の吉田は、迷いの中にいた。「ボールがどうこうより、フォームから何からわからない感じで投げていた」と振り返るほどだ。そんな時には「真っ直ぐが打ちづらい」という蛭間からの返信が、心の支えにもなった。
彼らは甲子園の後、宮崎で行われたU-18アジア選手権を通じて結束を深めていった。さらに仲良くなるきっかけがその後、福井で行われた国体にあったのだという。みんな同じ宿で、食事会場も一緒だった。「食事が終わったら、なぜか僕の部屋に全員来て……。(藤原)恭大とか根尾(昂)さんとか」。今はチームメートになった柿木蓮投手や、奈良間大己内野手もいたのだという。
「有名人がぞろぞろ来て……。僕のチームメートが困っていました。『サインもらおうかな』とか言うので『ミーハーみたいだからやめろ』と言った記憶があります」