野球観戦をより楽しく! メジャー球場に映る「スタッツ」…選手能力をデータで評価
日米でビジョンに表示されるスタッツは大きく違う
今回は、私が日本とアメリカの違いを感じた「スタッツへの理解」について書いていきたい。私がこう感じたきっかけは、メジャーリーグの球場ではどこにも、日本ではあまり知られていない部分のスタッツまでフィールドビジョンに映っているからだ。
まず「スタッツ」とは何なのか。定義から説明すると、試合においてのチームや選手個人の成績をまとめたものをいう。英語の「Statistics(統計)」という単語からきている。
日本のプロ野球のビジョンでよく使われるものとしては打率、防御率などがあるが、アメリカではより多く、細かいものが観客にも理解され、選手を評価する手段として使われている。
日本でもスタッツデータを目にする機会は増えてきたが、初めてエンゼルスタジアムで観戦した時の情報量の多さには驚いた。聞けば、日本でもエスコンフィールド北海道のビジョンには、英語表記でスタッツが細かく表示されているという。今後は日本でも一般的になっていくのかもしれない。
先日、私はアメリカのリトルリーグの試合を見に行ったのだが、そこでは日本ではまだプロ野球でしか聞かないような種類のスタッツを、コーチや子どもたちが会話の中で使っていた。アメリカではもう常識として野球文化に根付いているのだ。
米国でビジョンに表示されるスタッツの種類
実際にスタッツデータについて説明していこう。
・AVG(Batting Average):打率
・PA(Plate Appearance):打席数
・H(Hit):ヒット数
・HR(Home Runs):本塁打数
・RBI(Run Batted in):打点
・R(Run):得点
・OBP(On Base Percentage):出塁率
・SLG(Slugging Percentage):長打率
・OPS(On Base Plus Slugging Percentage):出塁率+長打率
・SB(Stolen Bases):盗塁数
・SBA(Stolen Base Attempt):盗塁企画数
打者のスタッツだけでも、これほど多くの数字が電光掲示板に掲載されている。投手も見ていこう。
・ERA(Earned Run Average):防御率
・WHIP(Walks Plus Hits Per Inning Pitched):投球回あたりの与四球・被安打数合計
・IP(Innings Pitched):投球回数
・H/9(Hits Allowed Per 9 innings):被安打率
・BB%(Walks Allowed Per 9 innings):与四球率
・K%(Strikeout Allowed Per 9 innings):奪三振率
・W(Win):勝利数
・L(Lose):敗戦数
・B(Balls):ボールの数
・S(Strikes):ストライクの数
・T(Total):投球数
・SO(Strike Outs):奪三振数
日本では現在、選手を評価する成績として、打者では打率、打点、投手は勝利数、防御率が特に重視される。これらの数値によってシーズン終了後にタイトルも決定する。しかし、これらの指標だけでは選手の能力を正確に測るのに十分でないということが、近年言われるようになった。そこで、より選手を評価できるように考えられたのがセイバーメトリクスだ。
打者では「OPS」…投手では「WHIP」を重視
セイバーメトリクスとは、スタッツを使って客観的に選手の能力を分析し、統計的に研究することをいう。打者では「OPS」(出塁率+長打率)が特に使用されることが多く、.700程度が普通で、.900を超えると一流選手という認識だ。NPBでは、昨年は.900超えは2人しかおらず、1位が吉田正尚外野手(オリックス)で1.008、2位が山川穂高内野手(西武)で.953だった。
投手ではWHIP(投球回あたりの与四球・被安打数合計)を重要な成績として挙げる。1イニング当たり何人を出塁させたかということで、1.00を下回ると一流選手と言われている。昨季、投手4冠を果たした山本由伸投手(オリックス)の数値が0.93。佐々木朗希投手(ロッテ)は規定投球回に足りていないが0.80。1位は加藤貴之投手(日本ハム)で、0.91だった。
他にもたくさんの指標があるのだが、今回はメジャーリーグの球場で主に使われているものを説明してみた。初めて知った人は、今後の試合観戦の際に注目してみてほしい。
(「パ・リーグ インサイト」鈴木優)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)