2023年も爆誕…阪神“恐怖の8番打者” 下位から好循環を生む29歳巧打者の「330」

阪神・木浪聖也【写真:矢口亨】
阪神・木浪聖也【写真:矢口亨】

「8番・遊撃」に定着し上位打線へのつなぎ役となった阪神・木浪

 18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神は、岡田彰布監督のタクトの下、リーグ唯一のチーム防御率2点台の投手力と、得点数リーグトップの攻撃力とが見事に噛み合って独走Vを遂げた。その「得点力」を生み出した打線で特徴的だったのが“恐怖の8番打者”の存在だ。振り返れば、2003年の優勝時には藤本敦士、2005年の優勝時には藤本や関本健太郎など、打線の“好循環”を生む8番打者が存在したが、今季その役割を果たしたのがプロ5年目、木浪聖也内野手だ。(数字は19日現在)

 投手が打席に立つセ・リーグにおいて、8番の打撃力の高さは1つの鍵になる。8番が打てないと、9番に入る投手とで簡単に2死を取られてしまう可能性があるが、8番のバッティングが良く出塁する確率が高ければ、9番の投手が送り、1・2番の上位打線につなぐことができるからだ。

 今季の木浪は打率が.279で、四球を選んだ数も29と決して多いわけではないが、それでも出塁率は.330。リーグで見ると16位だが、上には上位や中軸を担う打者ばかり。8番打者を担う選手としてはかなり高い。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、木浪の数値で特筆すべきは、本塁打以外の打球が安打になった割合を示す「BABIP」の高さ。「.363」と規定打席到達者の中でリーグトップの数値を誇る。打者の運を示す数字とも言われるが、シーズンを通して高数値を維持。今季はバットに当てればそれだけヒットゾーンに飛ばす確率が高くなっている。

 木浪はルーキーイヤーの2019年に113試合出場で打率.262をマークしたが、昨季は41試合にとどまり打率.204と出場機会を減らしつつあった。しかし、「8番・遊撃」に定着した今季は、4、5月と月間打率3割超の打棒でチームを勢いづけ、一時調子を落としたものの、8月には再度月間打率.333、得点圏打率.360と下位打線からチームに勢いをもたらした。クライマックスシリーズ、そして日本シリーズでも“好循環”をもたらす29歳の活躍に期待だ。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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