ロッテの大砲は低数値、西武・栗山と中村では鮮明な「差」 指標「BABIP」で見える特徴

西武・栗山巧(左)と中村剛也【写真:矢口亨】
西武・栗山巧(左)と中村剛也【写真:矢口亨】

今季のBABIPパ1位は鷹・近藤、オリ・頓宮が続く

 セイバーメトリクスで用いられる指標の一つに「BABIP」がある。本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示すもので、基本的には選手の能力に影響を受ける要素が少なく、運に左右されやすいとされ、長いスパンで見れば平均値とされる.300に近い数字に収束していくと考えられている。今回は規定打席に達しているパ・リーグ選手のBABIPの数値を紹介する。(成績は18日終了時点)

 今季のパで規定打席に到達している選手のうち、BABIPの1位となっているのがソフトバンク・近藤健介外野手で.343。キャリア通算のBABIPも.352と高水準だ。.327で3位のソフトバンク・柳田悠岐外野手も通算BABIPが.363。2位となったのがオリックス・頓宮裕真捕手でBABIP.336をマークしている。

 規定打席到達者のうち、BABIPが最も低かったのはロッテ・中村奨吾内野手で.247。キャリア通算BABIPも.290で、その数字をも大きく下回っている。今季は打率も低く、BABIPの低さも要因の一つと考えられる。同僚のグレゴリー・ポランコ外野手はその次に低く.258。プルヒッターの傾向が強く、極端なシフトを敷かれることも多いため、ヒット性の当たりが野手の守備範囲となることも少なくない。

 ランキングの下位10人に位置した選手のうち、キャリア平均のBABIPが3割を上回っているのは楽天・浅村栄斗内野手と小深田大翔内野手の2人。キャリアを通じてBABIPが低い選手がそのまま下位に位置しやすい傾向も、興味深い側面と言える。

西武・栗山は通算BABIPが.322、同僚の中村は.290

 パの現役選手で、通算打席数が上位10人の通算BABIPを見ると、西武・栗山巧外野手は.322。同僚の中村剛也内野手は.290だ。レジェンド2人の打撃スタイルが正反対であることは、BABIPにもはっきりと示されている。

 盗塁王4度の楽天・西川遥輝外野手の通算BABIPは.341。2020年には.369を記録していたが、2021年は.289、2022年は.280、2023年は.250と徐々に数字が低下している。BABIPの低迷が、長引く不振の理由の一つとも考えられる。

 そして、通算打席数上位10人のうち、通算BABIPが.300を下回っているのは西武・中村(.290)、ソフトバンク・今宮健太内野手(.288)、楽天・鈴木大地内野手(.299)の3人。鈴木大は.299とほぼ.300に近い数字を残しており、平均値を大きく下回ったのはの右打者の中村と今宮だった。

 BABIPという指標自体が運に左右されやすいのは確かだ。ただし、.300という平均値ではなく、選手個々のキャリア平均を基準にして考えるべきという意見も存在する。実績あるベテランの多くが通算BABIP.300を上回っているという事実は、そうした意見を裏付けるものでもあろう。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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