9年間で4万人減少でも…プロを目指す高校球児は増加傾向 挑む50人前後の“狭き門”

大阪桐蔭・前田悠伍、沖縄尚学・東恩納蒼、広陵・真鍋慧(左から)【写真:荒川祐史、小林靖】
大阪桐蔭・前田悠伍、沖縄尚学・東恩納蒼、広陵・真鍋慧(左から)【写真:荒川祐史、小林靖】

支配下・育成含めて50人前後のドラフト指名を待つ高校生

 今月26日のドラフト会議を控え、12日にプロ志望届の提出期限を迎える。野球部の部員数減少が叫ばれている高校生だが、志望届提出者数自体は近年大きく上昇傾向にある。今年も大阪桐蔭・前田悠伍投手、沖縄尚学・東恩納蒼投手や広陵・真鍋慧内野手ら135人が既に届け出を済ませ、指名を受けるための“第1歩”を踏み出している。

 過去の高校生のプロ志望届提出者数を見ると、10年前の2013年が71人というように、2010年代前半は2桁人数で推移していた。しかし、その後は次第に増加傾向となり、コロナ禍の2020年には過去最多の215人が提出。2021年は159人、2022年も154人もの高校生が届け出た。

 高校野球の部員数自体は断続的に減少しており、この9年間で約4万2000人も減っていることが高野連から公表されている。一方で、NPBに挑戦しようという意気込みを持つ高校生は、逆に増えているのが現状だ。

 そこには、プロ側の育成環境の充実も関わっていると考えられる。育成ドラフトは2005年に始まったが、例えばソフトバンクが2011年に3軍制を導入して本格的に“一芸に秀でた”選手たちの育成に取り組むと、そこから千賀滉大投手(メッツ)や甲斐拓也捕手ら、大きく飛躍する高卒選手が誕生した。

 そうした“活用効果”が他チームにも波及し、2020年には初めて全12球団が育成ドラフトで選手を指名。磨けば光る可能性を持つ選手の、独自育成に力を入れる傾向が強まっているといえる。

 こうした球界の潮流が、たとえ育成スタートであっても「プロに挑戦したい」という高校球児の気運を高めている可能性はあるだろう。実際にドラフトで指名される高校生の数は、2020年が提出者215人中52人(支配下30人、育成22人)、2021年が159人中58人(支配下30人、育成28人)、そして昨年は154人中52人(支配下25人、育成27人)と狭き門であることに変わりはない。それでも、プロに挑もうという球児の多さは、競技人口の危機が叫ばれる野球界において1つの“光明”と言えるかもしれない。

(Full-Count編集部)

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