西武に現れた“覚醒間近”の23歳 野手歴1年も…目指す糸井2世「超人になりたい」
目指す将来像は元阪神・糸井嘉男さん「超人になりたい」
「『ヒグマが出たぞー!』ってみんなに言ってもらいたい」。昨年の育成ドラフト2位で入団した西武のモンテル(本名・日隈モンテル)外野手は、自身の苗字になぞらえた声援を送られたいという夢を持つ。宮崎県内で行われている秋季教育リーグ「第20回みやざきフェニックス・リーグ」で躍動する23歳が、支配下登録へ猛アピールを続けている。
米国人の父と日本人の母を持ち、驚異的な身体能力が持ち味。遠投は120メートル、50メートル走は手動ながら5秒69を記録したこともあるほど。目指すべき選手像も明確だ。「やっぱ糸井(嘉男)さん。超人になりたいんで」と、走攻守のスペシャリストを目指す。大島裕行2軍打撃コーチも「目標はまさにそんな感じ。グラウンドを駆け巡ってほしい」と背中を押す。
その目標通り、試合に出場すればド派手なプレーで視線を奪う。11日の巨人戦では左中間への三塁打。12日の韓国選抜戦でも、レフト線への二塁打を放つなどパワーは折り紙つきだが、もっと魅力的なのが走力だ。大きなストライドであっという間に次の塁へ到達し、三盗も難なく決めてしまう。大島コーチも「一番の長所は足。パワーもあるけどやっぱり速い」と脱帽する。
さらにまだ本格的に野手に専念して約1年しか経っていないというから驚きだ。「楽しみな存在。まだ野手やって間もないし、まだまだ成長過程にある」。伸びしろだらけの逸材にはコーチからの期待も大きい。
育成から成功を掴んだオリックス・茶野とは元チームメート
プロ入り前は独立リーグの徳島インディゴソックスでプレー。オリックス・茶野篤政外野手とはチームメートで1、2番コンビを組んでいた。ともに育成契約で入団し、ライバルは初年度からいきなり開幕1軍の座をつかんだが、自身は育成のまま。それでも「焦りはないです。自分の番はいつか来るので、焦らずやっていきたい」と自分を見失わない。
仲間からライバルに変わった今も関係性は変わらない。よく電話で話す仲で「盗塁の話をよくします。1軍になるとスピード感も全然変わってくるとか、勉強になっています」。悔しさはもちろんある。それでも飽くなき向上心があるからこそ、嫉妬することはない。
「持ち味は全力。凡打でも全力疾走。そういうところからアピールしていきたい」。少し前を歩き始めた友の姿を目に焼き付け、今日もグランドを駆け巡る。背番号「119」のヒグマが冬眠から目覚めるのはもうすぐだ。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)