最強スラッガー次男は「守備もうまい」 強気の女子…個性派集団が備える“力強さ”

埼玉西武ライオンズジュニアの長田昂大(右)と中村航大【写真:湯浅大】
埼玉西武ライオンズジュニアの長田昂大(右)と中村航大【写真:湯浅大】

西武Jr.を率いる星野智樹監督…選考で重視したのは「力強さや足運び」

 26日から開催される「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2023」に出場する「埼玉西武ライオンズジュニア」を率いる星野智樹監督が、初優勝を目指すチームのストロングポイントと課題を挙げた。

「最初に点を取ったら勝てる気がする。逆だったら負けてしまうかもしれません。ああダメか……となってしまうチームなので。なんとか投手が立ち上がりを0点で踏ん張ってくれたら兆しはあります。なんとか0点で抑えて、相手のちょいミス待ちで1本ドン、という形ですね」

 スター選手はいない。567人の応募からの選考で重視したのは「力強さ」だったという。「この子は力強いね、守備の足の運びがいいね、といった感じですね」。1次選考で見る映像と、実際に見る2次選考とのイメージをすり合わせながら、絞り込んだ16人の精鋭だ。

 主将に求める要素は「嫌われ役」だという。「監督も嫌われないといけないと思っているので。褒められるのも、怒られるのもキャプテン。だから自分はどうするか。そういうのを感じて行動してくれる子がいいですよね。『ここはこうしようよ』『声出そうよ』とか。うるさいなと思われるかもしれないけど、誰かが言わないとチームは出来上がらない。そこがしっかりできないと、キャプテンはいつまでたっても褒められないです。自分が褒められたいなら自分を犠牲にする部分は必要なんじゃないかなと思います」。

 今回、主将に選んだのは長田昂大くん(広見ベースボールクラブ)だ。星野監督は「最初は静かだった。キャプテンに指名してから『次は何をしますか』とか聞いてくれるようになってくれた。ここにきてやっとキャプテンらしくなってきましたよ」とうなずいた。

「3番・捕手」での出場が見込まれる長田くんも、「キャプテンになって声の出し方は大きく変わったと思います。監督やコーチからは『コースにしっかり構えた方が投手は投げやすい』と教わりました」とハツラツと答えた。

埼玉西武ライオンズジュニアの清水美沙姫【写真:湯浅大】
埼玉西武ライオンズジュニアの清水美沙姫【写真:湯浅大】

指揮官も「非常に楽しみ」…清水美沙姫投手は「一発逆転ではなく、1点ずつ取って」

 注目は西武・中村剛也内野手の次男、航大くん(高井戸東少年野球クラブ)だ。現役最多、歴代12位の通算471本塁打の大砲のDNAを持つ若きスラッガーは、「僕はバッティングに自信があったので、それで選ばれたと思います」とにっこり。

 父からは「調子が悪い時こそ下半身を使いなさい」などの助言を受けたそうで、「いつも6番でチャンスが多い。勝負強さを発揮して点を取りたいです」と意気込んだ。星野監督も「彼はいいですよ。長打力もあるし、守備もうまい。ショートバウンドもしっかり捕る。大戦力ですよ」と期待をかけている。

 チームの紅一点、清水美沙姫さん(大宮パワーズ)も勝敗の鍵を握る。星野監督は「戦力的に考えて選びました。テンポを変えて投げれば点を取られないです。高橋(朋己)投手コーチからも推薦がありました。男の子の中に入っても引けをとらないくらい練習を頑張る。(球速は)110キロくらい出るし、非常に期待していますよ」。清水さんも「最初はちょっと緊張したけど、みんな話してくれるので、楽しくやっています。エースになりたいです」と負けん気をのぞかせた。

 埼玉西武ライオンズジュニアの最高順位は2度の準優勝。昨年は3位だった。長田くんが「1~3回くらいまでに点を取って、投手が投げやすい環境を作るのが理想です。僕は主に3番なので、とにかく次の人に回しながら、点を取ったり、塁に出たり、ホームランを打ったりして頑張っていきたいです」と意気込めば、中村くんも「初回から守備でいいプレーをして、点を取って、試合の流れを持ってきて、僕らのペースで勝つのが理想です」と力強く語った。

「ライオンズより強いチームはあるかもしれないけど、どこのチームよりも仲良いと思います。一発逆転ではなく、1点ずつ取っていって勝ちたいです」とは清水さんだ。星野監督は「優勝は目指しますけど、優勝よりも大事なものを得てほしいと思います。人間関係だったり、出会った仲間であったり。大した指導をしていないですけど我々であったり。色々と経験してもらいたいです」。グラウンドを見つめながら、優しく微笑んだ。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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