「上手くても選べない」選手とは プロへの登竜門…NPBジュニアになるための“大前提”
2010年以来のV目指すマリーンズJr.…小林宏之監督が語る選考ポイント
「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CAP 2023」が、26日から神宮球場と横浜スタジアムを舞台に行われる。プロへの“登竜門”と呼ばれるジュニアチームは、6月から選考が数回行われ、勝ち抜いた16選手が集まる。千葉ロッテマリーンズジュニアを率いる小林宏之監督は、選手を選ぶ際のポイントを2つ挙げた。
ソフトバンク・近藤健介外野手、ヤクルト・木澤尚文投手、ロッテ・池田来翔内野手らを輩出したマリーンズジュニアには、今年度は750人の応募があり、最終的に16人の精鋭が選ばれた。2次選考まではキャッチボール、打撃練習などで基礎的なスキルを見定め、最終選考では実戦形式で能力を見極める。
ロッテ、阪神などでプレーした小林監督は、「なによりも基本が大事」と語る。「バッティングは個性もありますし、最近はいろんな打ち方がありますが、投げるのと捕るのは基本がベースにありますから」。選考会では、まずキャッチボールとボール回しを重点的に見るという。
もう1つの重要なポイントとして挙げるのは、“思いやり”だ。ボール回しにしても、捕球する選手が捕りやすいところに投げることで、相手のスムーズな送球にも繋がる。「捕りやすい所に投げるのも重要な能力だと思います」。ただ肩が強く、長い距離を投げられるだけでは駄目なのだ。
「上手くても選べない」と語るもう1つのポイント
プロ野球の舞台と同じく、NPBジュニアのセレクションも少ないチャンスで結果を残し、生き残らなければならない。実力のある選手でも、落とすこともあるという。「やっぱり、目立たないと、選考している側としては取ろうとは思わない。そういう気持ちが選考会で出ている選手を選びます」。
“目立つ”という面で、評価しているのが「声」だ。「上手くても、その中で声が出ていないとなると選べないかなと」。マリーンズジュニアでは、第一に大きな声、積極的に声を出すことをチームの選手に求めている。
キャプテンに選ばれた田辺一心選手(夏見台アタックス)も、セレクションで声をアピールした選手の1人。「めちゃくちゃ声を出すし、人に厳しく言える子。チームを盛り上げてくれる。そういう姿が見えるから選びました」。田辺くんは試合中もポジションの外野から、投手やベンチに向かって声を張り上げ、チームを盛り上げる存在だ。
大会に向けて田辺くんは「家でもお父さんと鳥かごでずっとバッティングしてきました。アピールポイントは声です。みんなで声を出して優勝したい」と意気込む。
元々所属するチームではレギュラーとして活躍する選手ばかりだが、NPBジュニアでは控えとなる選手もいる。小林監督は「レギュラーは9人なので、どうしても試合に出られない選手はいる。そういう時に声を出して味方を応援してくれる選手じゃないと、チームとしては成り立たない。声が出せるということは、人の応援もできる。そういう意味でも重要視しています」。
能力に関わらず、誰にでも意識できる“大前提”の部分を、選手たちには求めている。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/