“見よう見まね”は「本来の姿ない」 精鋭小学生に力説…情報社会こそ大事な「基礎」

オリックスジュニアを指導する小川博文監督(右端)【写真:球団提供】
オリックスジュニアを指導する小川博文監督(右端)【写真:球団提供】

オリックスジュニアを率いる小川博文監督が伝えたい「基本の大切さ」

 楽しいだけでは強くなれない。26日に開幕する「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2023」でオリックスジュニアを率いる小川博文監督は、2007年の第3回大会以来16年ぶりの優勝を目指す。

 オリックスや横浜で計16年プレーし、通算1720試合に出場して1406本のヒットを放った指揮官だが、「僕がプロ野球選手だったからといって、そのレベルの話をするかというとそうではありません」とキッパリ話す。

 指導方針は明確で「投げる、打つ、走るということに意欲を持ってもらう。その基本的なことしかやらないですね」と説明する。「小学生でもジュニアに選ばれる選手は、所属チームでは1番か2番の(センスがある)選手。でも、その選手が全部のことができるかというと、できてないと思うんですよね」と、精鋭たちが陥りやすい“盲点”について言及する。

 情報量の溢れる時代となったが、YouTubeに流れるような動画を見ただけでは、「なかなかパフォーマンスが追いつくことはない」と小川監督。「基本が疎かになってしまうので、迷った時に、どうしても自分自身のことが理解できていない。“本来の姿”がないので、やっぱり、迷ってしまいますね」。そんな時、首を傾げるナインの背中をそっと押している。

「だからこそ、基本を大切にということを伝えています。見よう見まねで全部プレーしていると、結果がついてこないので長続きしない。現時点のことだけを考えるのではなくて、先のことを考える指導もしています」

16人いれば16通りの「基本」がある…個々を見抜いて丁寧な指導を

 チームには16人の男女が集う。「1つのチームに集まってくれていますが、基礎能力はみんな違うのでね。個人別の基本があるんです。16人いたら、16通りの基本がある。性格だとか、特徴がある訳です」。個々のキャラクターを見抜き、丁寧な指導を心掛けている。

 打者はヒットを打って喜び、投手であればバッターを打ち取って両手を突き上げる。そんな様子を見て、「楽しいだけではダメなんですよね。悔しさも絶対どこかに生まれるはずなので。それも言っています」と言う。

「だから『楽しく野球をやることってどういうこと?』って聞くようにしているんですよ。上手にプレーできて結果が出たら『楽しかった』で、もちろん良いと思います。ただ、どこかで『悔しかった』ということが出てくるはずなんですよね。勝ち負けから学ぶことがたくさんある。楽しさの中に厳しさもあって、時には残酷なこともあるんだよと伝えていますね」

 酸いも甘いも味わってきた現役生活があるからこそ、指揮官は優しく“現実”を教えることができる。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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