イチロー氏が伝える打撃の“大前提” 使うと限界来る部位…不得意でも「正しい形で」

宮古高で指導を行ったイチロー氏【写真:代表撮影】
宮古高で指導を行ったイチロー氏【写真:代表撮影】

日米通算4367安打のレジェンドが沖縄での高校生指導で語った打撃論

 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏が、12月16日から2日間にわたり沖縄・宮古高で野球部員たちを指導した。フリー打撃で自ら打撃投手を務めるなど、部員たちに熱心にアドバイスを送ったが、日米通算4367安打を誇る稀代のヒットメーカーが選手たちに強調したのは、バッティングにおける“下半身”の重要性だった。

 初日、トスバッティング(ペッパー)をする部員の様子を見守っていたイチロー氏は、「手だけでやると悪い癖がついちゃう」と指摘。自身もペッパーを行うと、部員は練習をする手をとめて一列に並んでイチロー氏を見守った。そこでこう語った。

「これは『手』でやっているように見えて『足』だからね。手でやろうとすると、知らないうちに変な癖がついてしまう。コントロールしているのは足。正しい形でやっているからこそ身になる。バントと感覚は似ていて、手でやろうとする人は安定しない」

 バット操作は手ではなく「足」の使い方が重要だと強調。多くの選手が苦手とする内角球への対応も、「詰まってもいいから足を使って正しい形で打つのが大切。とにかく鍛錬を重ねるしかない」と説明した。

防球ネットを置いた打撃練習を実演するイチロー氏【写真:代表撮影】
防球ネットを置いた打撃練習を実演するイチロー氏【写真:代表撮影】

股関節主導のバッティングは“正しいスクワット”がベースに

「きれいにボールのラインに(バットを)入れるためにはどうすればいいか」との部員からの質問には、「アベレージバッターはポイントで捉えるのではなく、“線”で入って確率を上げる。ポイントで捉えようとすると手を使ってしまう。股関節をピッチャー(方向)に入れてから、打つ体勢を整えている。上半身ではなく下半身でコントロールする」と説明。ベースとなるのはスクワットの姿勢だといい、自ら実演して見せた。

「つま先よりも膝が前に出ないようにする。股関節に上半身を乗せるイメージ。前(太ももの前側)に反応が出ているのは良くなくて、ハム(ハムストリングス)、お尻、背中と体の後ろ側に反応が出るといい。スクワットはアップにも使えるから覚えてもらいたい」

 イチロー氏が強調したのは、「手を使う人間は限界が来る。うまくなりたいなら下(下半身)を使う訓練をしてください」ということ。NPB、MLBの世界で数々の偉業を成し遂げたレジェンドの言葉は、説得力をもって選手たちの心に響いたようだ。

(First-Pitch編集部)

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