スイングスピード強化は「冬場が絶好機」 大阪桐蔭元主将が重視する“押し込む”部位

レッドソックス・吉田正尚(右)やオリックス・森友哉ら小柄でも長打を打てる選手の共通点とは【写真:Getty Images、小林靖】
レッドソックス・吉田正尚(右)やオリックス・森友哉ら小柄でも長打を打てる選手の共通点とは【写真:Getty Images、小林靖】

名古屋市で野球塾運営…水本弦さんが語る、吉田正尚や森友哉の“共通点”

 実戦の機会が減る冬場は、スイングスピードを上げる絶好の機会となる。大阪桐蔭の元主将で、現在は名古屋市の野球塾で小・中学生を指導している水本弦さんは、スイングスピード向上の鍵に「背筋力」を挙げる。1人でもできるお勧めの素振りと背筋強化法を解説してもらった。

 水本さんは大阪桐蔭で甲子園春夏連覇を果たし、亜大、東邦ガスとアマチュア野球界の王道を歩んできた。大阪桐蔭で1学年後輩だったオリックス・森友哉捕手をはじめ、プロや社会人で活躍する打者を間近に見る中で、スイングスピードの速い選手は大きく3つのタイプに分けられると感じていた。

1、身長が高い、または手足が長い
2、体重が重い
3、背筋力が強い

 手足は長い方がバットを振った時に遠心力がつく。体重も重い方が、より大きなパワーを生み出せる。ただ、体格は生まれ持った要素が大きく、努力や工夫に限界がある。

 水本さんが重視するのは背筋力の強化。決して大きくない体でも並外れたスイングスピードで打球を遠くへ飛ばす、オリックス・森やレッドソックス・吉田正尚外野手が、背筋の強さを象徴する選手といえる。背筋とスイングスピードの関係性について、水本さんが説明する。

「スイングスピードを上げるためには、バットを押し込む力が重要です。手で壁を強く押そうとすると、上半身は自然と反ります。背筋を使って体を反ると手で押し込む力が強くなるわけです。背筋力が強い選手ほど体を反ってスイングし、振りが速くなります」

「Amazing・ベースボールパートナー名古屋校」塾長を務める水本弦氏【写真:間淳】
「Amazing・ベースボールパートナー名古屋校」塾長を務める水本弦氏【写真:間淳】

スイングスピード強化は「飛距離や変化球の対応力につながる」

 水本さんは塾長を務める野球塾「Amazing・ベースボールパートナー名古屋校」では、背筋力を鍛えるメニューを取り入れている。左打者であれば、右手1本でフォロースルーし、バットの先を軸足となる左足の内側につける素振りはその1つ。バットを振った後に、踏み込んだ右足と上半身が一直線になり、体を反った形を理想としている。

「背筋が使えていない打者は、スイングの後、踏み込んだ足ではなく、軸足と上半身が一直線になってしまいます。体が前に突っ込んだ状態です。背筋を使ったスイングが目的なので、踏み出す足のつま先が地面から上がっても構いません」

 スイングスピードは打球の飛距離や変化球の対応力につながる。「実戦が増える春になったら、投手の球を見て細かい部分は調整していきます。冬場にスイングの速さと強さを身に付けられるかどうかで、結果が変わってくるはずです」と水本さん。背筋力アップにつながる、自宅でできるトレーニングも紹介してくれた。自信や期待に満ちた顔で春を迎えられるのか。選手の表情は冬の過ごし方を映し出す。

(間淳 / Jun Aida)

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