阪神の懸念は“聖域”の崩壊、連覇は「7割」 補強は最小限も…OBが太鼓判を押す理由

阪神・岡田彰布監督【写真:小林靖】
阪神・岡田彰布監督【写真:小林靖】

阪神OBの野口寿浩氏が今季のチームを展望

 阪神は2024年シーズン、岡田彰布監督のもとで球団初となるリーグ連覇を目指す。キャンプインも迫る中、阪神などで捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は、リーグ連覇の可能性について「結構高いと思います。7割くらいじゃないですか」と語る。

 昨季は岡田監督が就任し、18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に輝いた。オフには現役ドラフトで馬場皐輔投手を放出し、漆原大晟投手を獲得。助っ人ではシェルドン・ノイジー、ヨハン・ミエセス両外野手とジェレミー・ビーズリー投手が残留。カイル・ケラー投手は退団して巨人入りしたが、救援右腕のハビー・ゲラ投手を獲得した。

「このオフを見ていても、阪神から絶対的な選手が抜けたわけじゃない。馬場とケラーは抜けましたが、そんなに投げている投手ではないので、戦力ダウンはほぼないですよね。野手は盤石。もうこれから円熟期を迎える、いい選手ばかりです」

 昨季リーグ2位の広島は、FAで西川龍馬外野手が移籍し、計算できる野手を1人失った。一方で阪神は昨季、生え抜きの選手がレギュラーとして活躍し、オフでも大きな流出はない。助っ人補強も最低限で、戦力がすでに整っているからこその“貫禄のオフ”だ。「見ていると、他球団が戦力ダウンしている気がする。トータルで見ると、現時点では阪神が一番(優勝に)近いように見えますね」と野口氏は語る。

一番気をつけるべきは“替えの利かない”選手の怪我

 仮に阪神が失速するとして、野口氏が恐れたのは「怪我」だ。「特に先発陣。あと、替えの利かない岩崎や島本。野手だと近本、中野、大山が怪我した時は怖い」と語る。昨季は1番の近本光司外野手、2番の中野拓夢内野手、4番の大山悠輔内野手らが1年間同じ打順、ポジションで起用されてチームの幹となった。主力の離脱だけは、なんとか避けたいところだ。

 2021年、2022年とリーグを制したヤクルトは、昨季は村上宗隆内野手が序盤に不振、塩見泰隆外野手の怪我もあって5位に沈んでいる。「去年はWBCがあって村上が崩れてしまい、チームもこけた形となった。そもそも野手が打って勝っていくチームでしたから、今年はシーズン前にそういうものがあるわけでもない」。

 選手、監督として阪神を3度の優勝に導いている岡田監督は、前回2005年にリーグ優勝した翌年はリーグ2位だった。「足をすくわれることは岡田監督が指揮している以上、そんなにないと思う。岡田さん自身も連覇の経験はないですが、コメントを聞いていても慢心はなさそうです。過去の反省も踏まえて戦っていくんじゃないかなと思います」。2年連続の“アレ”達成へ、指揮官がどのようにタクト振るのか注目が集まる。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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