高校野球は「危機的状況」 “お膝元”で部員減深刻…名将も衝撃「先進的にやらないと」
須磨友が丘高校の徳山範夫監督が中心となり中高連携の野球教室開催
野球人口の減少に歯止めをかけるため、甲子園の“お膝元”が動いた。兵庫県の高校野球指導者、選手が中学生と交流する「中高連携野球教室」が、1月28日に須磨翔風高校で行われた。須磨友が丘高校の監督で、県高野連指導者委員長を務める徳山範夫氏は「本当に危機的な状況」と、危惧している。
今回の野球教室は兵庫県高野連が主催し、神戸市内にある中学11校の野球部44人が参加。監督、選手が中学生へ技術指導を行い、競技の魅力などを伝えた。企画の中心となり動いたのが徳山監督。北須磨高時代には桜井俊貴投手(元巨人、現ミキハウス)を教え子に持つなど、公立の名将だ。
試合ではライバルとなる各校がタッグを組み、将来の高校野球界を担う中学生と交流。「これまでは中学生への指導や交流はなかったし、できなかった。甲子園のお膝元として、何もせずに高校野球の発展はありえない。積極的に取り組んで、先進的にやっていかないといけない」と、言葉に力を込める。
昨秋は県高野連の立場として衝撃の事実に直面した。大会に出場する神戸市内の各校へ、3人のボールボーイを出すことができるかを問うと、半数の17校が「部員が足りず厳しい」と回答してきたという。兵庫の中でも都会とされる地域の学校でも、部員不足は深刻だ。
「ベンチ入りが20人ですので、ボールボーイを含めると23人が必要。神戸地区だけでも半数が部員を出せない。これはちょっと衝撃でした。危機的な状況になっていると。全体の底上げがなければ、自分たちのチームにも部員は入ってこない」
徳山監督の呼びかけに応じ、講師役として市内の高校の16選手、各校の指導者らが集結。中学生に向け投球、打撃、走塁などを熱心に教える姿があった。「部員集めに苦労している高校は多い。高校野球の魅力を伝え、雰囲気も味わうことができる。これを根付かせていければ」。今後はこの日の野球教室をモデルケースとし、県内各地に広げていく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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