無理と言われても「横浜高校しか見てなかった」 名勝負に憧れ…後悔なき“初志貫徹”

くふうハヤテベンチャーズ静岡の倉本寿彦(右)【写真:間淳】
くふうハヤテベンチャーズ静岡の倉本寿彦(右)【写真:間淳】

元DeNAのくふうハヤテ・倉本寿彦…憧れの高校入学も「心が折れそうな時は何度も」

 進路選びに後悔しないためには、自分の意志や決断が重要になる。元DeNAで今季から「くふうハヤテベンチャーズ静岡」に所属する倉本寿彦内野手は、周囲から「無理」と言われても、進学先は名門・横浜高校しか見ていなかった。同級生との実力差に悩んだ時期もあったが、最終的にはプロ野球選手になる夢を実現させた。

 横浜高から創価大、日本新薬を経て2014年にドラフト3位でDeNAに入団した倉本は、2022年までDeNAでプレーした。プロ2年目にはレギュラーとして157安打を記録するなど、通算477安打の成績を残している。今季はウエスタン・リーグに新規参入した「くふうハヤテ」から再びNPB12球団入りを目指す。

 倉本が目標に掲げていたプロ野球選手になる上で、ターニングポイントの1つとなったのは高校進学だった。小学生の頃に甲子園で対戦した横浜高とPL学園の試合を見て、横浜高に憧れを抱いた。

「横浜のユニホームを着てプレーしたいと強く思いました。中学生になっても気持ちは変わらず、周りからは無理と言われても進学先は横浜高校しか見ていなかったです」

 野球推薦で横浜高に入学した倉本だったが、周囲は自分より上手な選手ばかりだったという。練習についていくだけで精一杯。1年生の頃は何度も野球を辞めようと考えた。

「心が折れそうなときは何度もありました。翌日の練習に行きたくないと思いましたし、自分の力のなさにも落ち込みました。でも、母親に『自分で決めたんだから、しっかりやりなさい』と言われて、自分で決意したんだからやり切らないといけない気持ちがありました」

3年間で同級生に追いつく目標…最高学年でレギュラーに

 横浜高入学の目標を達成した倉本は、次のステージに目を向けた。「このユニホームを着て試合に出たいと思いました」。必死に過ごした最初の1年間は、あっという間に過ぎていったが、1年生の秋から少しずつ試合に出られるようになった。

「入学して同級生を見た時、同じレベルに達していないと感じましたが、3年間あれば越えられると心の中に秘めて練習しました。試合に出ているチームメートを見ていると、自分も出たい気持ちになりますし、『活躍したい』というより『憧れのユニホームを着てプレーしたい』と思っていました」

 少しずつライバルとの差を詰めて、最高学年になった時は抜き去った。不言実行でレギュラーの座を手にし、夏の甲子園にも出場した。「1つずつ段階を踏んで頑張れたところが良かったのかもしれません。その後の大学、社会人、プロでも自分の決断を大事にしています。決断や決意が結果を生むと考えています」。将来を決めるのは自分自身。自ら選んだ進路であれば、後悔する可能性は低くなる。

(間淳 / Jun Aida)

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