“限られた3年間”で定位置をつかむ逆算思考 春夏連覇主将が重視した「徹底比較」
大阪桐蔭最強世代…中川卓也は飛距離で負けてもバットコントロールで勝負
強豪校でレギュラーをつかむには、観察力や準備も大切になる。大阪桐蔭で主将を務め甲子園春夏連覇を果たした中川卓也内野手と、創成館(長崎)で甲子園に2度出場した峯圭汰外野手が5日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「甲子園予備校」に登場。レギュラーとして甲子園に出場できた秘訣を明かした。
現在は社会人野球の東京ガスでプレーする中川は2018年、根尾昂投手(中日)や藤原恭大外野手(ロッテ)らとともに甲子園で春夏連覇を成し遂げた。「最強世代」とも言われる能力の高い選手が集まったチームで、競争に勝つための分析を怠らなかった。
「ライバルになる選手を見て、自分と比較していました。試合で使ってもらうには、どんな長所を伸ばして、どんな短所を改善すれば良いのか考えていました」
入学当初は監督やコーチに自分のプレーを知ってもらうアピールを重視していたが、数か月経つと個々の選手の特徴が見えてきたという。自らの長所と短所を分析し、限られた時間でレギュラーになる方法を導き出した。
バットコントロールが武器だった中川は、バットの芯に当てる確率を高め、広角に打ち分ける技術を磨いた。一方、飛距離では勝てない選手が多かった。ウエートトレーニングでパワーアップを図りながらも長所を消さないように心掛け、あらゆる投球に対応する中で飛距離を伸ばす方法を追求した。
創成館で甲子園出場の峯圭汰…中学での準備が生きるも1年生で悔しい経験
中川は中学生の頃から観察力や考える習慣を身に付けていた。大きな存在だったのが3歳年上の兄・優さん。投手として八戸学院光星(青森)で甲子園に出場する姿にヒントを得た。
「兄は球が速かったわけではありませんがチームのエースでした。打者のタイミングを外したり、待っている球と違う球種を投げたりしていました。相手を見たり、比較や真似したりする大切さを兄から学びました。兄の影響を受けて、練習でチームメートの打撃を見て自分の技術向上につなげていました」
社会人野球のKMGホールディングスに所属している峯は、創成館で1年生からレギュラーだった。中学生と高校生の打者ではバットを振る力と体幹の強さに差があると考え、中学時代から重いバットを振り込んで強くスイングする力を磨いていた。
高校入学後は球速や変化球のキレに中学との違いを感じながらも、準備が生きて打撃で存在感を示した。峯は入学から、ずっと試合に出続けていたが、過信や油断は生まれなかった。それは、忘れられない悔しさを経験したからだ。
「1年生の夏の大会で、準決勝まで安打が1本くらいしか出ず、チームも甲子園に行けませんでした。1年生で使ってもらったのに、先輩たちのために活躍できない申し訳なさがありました」
峯は上達するために小・中学生の頃から誰よりも練習する意識を持っていた。そして、この敗戦から「今までガムシャラに野球をやっていましたが、打撃を勉強して考えるようになりました」と練習の質にもこだわって技術を高めた。準備や観察による逆算が、強豪校でレギュラーを取る近道となる。
(間淳 / Jun Aida)
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