大谷、ダルビッシュ、田中将 “大投手”離脱の翌年に飛躍…エースになった6人
涌井秀章は松坂大輔が抜けた翌年に台頭…最多勝を獲得
2023年オフに上沢直之投手と山本由伸投手が、MLB球団へ移籍した。大黒柱の離脱はチームにとって痛手だが、過去に目を向けると、パ球団のエースがMLBに移籍した翌年に飛躍を果たし、新たなエース格に成長した投手もいた。今回は大黒柱の穴を埋めてみせた6投手を紹介する。
・涌井秀章:2004年ドラフト1巡目で西武入り。1年目は13試合で1勝6敗とプロの壁に跳ね返されたが、2006年は12勝を挙げた。2006年オフには松坂大輔投手がMLBに移籍すると、涌井は2007年に17勝、防御率2.79で最多勝を獲得した。2008年は10勝でリーグ優勝と日本一に貢献。2009年は16勝、防御率2.30で最多勝と沢村賞に輝いた。後に移籍したロッテ、楽天でもエース格として活躍。史上初の、3球団での最多勝を達成した。
・吉川光夫:2006年の高校生ドラフト1巡目で日本ハム入団。1年目から19試合に登板し、93回1/3で防御率3.66をマークしてリーグ優勝に貢献し、日本シリーズでも先発した。2008年以降は3年連続で防御率6点台と苦しんだが、ダルビッシュ有投手がチームを離れた2012年に自己最多の14勝を挙げ、防御率1.71。リーグ優勝の立役者となり、最優秀防御率とリーグMVPに輝いた。2015年には自身2度目の2桁勝利。2016年は一時はクローザーを務めるなど貴重な左腕としてフル回転し、リーグ優勝と日本一に貢献した。
・攝津正:2008年ドラフト5位でソフトバンクに入団し、1年目に70試合で39ホールドポイント(HP)を記録。最優秀中継ぎ投手、新人王に輝いた。2010年も71登板で32HPを挙げ、2年連続最優秀中継ぎ投手を手にした。先発に転向した2011年は14勝。和田毅投手が退団した2012年には17勝5敗、防御率1.91で最多勝と最優秀投手(現在の最高勝率)の2冠に加え、沢村賞にも輝いた。2011年から5年連続で2桁勝利を記録。5度のリーグ優勝と日本一を経験するなど、常勝軍団を支え続けた。
大谷が抜けた2018年に飛躍した上沢…チーム最多11勝
・則本昂大投手:2012年にドラフト2位で楽天に入団。2013年にルーキーながら開幕投手に抜擢され、15勝。新人王に輝き、球団初の日本一に貢献した。同年オフに田中将大投手がMLBに移籍。2014年は200投球回を突破して204奪三振で最多奪三振を受賞した。同年から5年連続で2桁勝利を記録した他、4年連続で200奪三振を超え、5年連続で最多奪三振のタイトルを獲得した。2017年には8試合連続で2桁奪三振というNPB記録を樹立した。
・上沢直之投手:2011年ドラフト6位で日本ハム入団。3年目の2014年に先発ローテーションに加わり、8勝をマーク。2015年は防御率4.18と成績を落とし、2016年は故障で1軍登板を果たせず。それでも2017年は91回2/3で防御率3.44をマークした。大谷翔平投手がチームを離れた2018年に飛躍を遂げ、自身初の規定投球回到達。チーム最多の11勝を挙げた。2021年には12勝6敗、防御率2.81とキャリアハイの成績を記録。2023年オフの米球界挑戦まで主力投手として活躍を続けた。
・伊藤大海投手:2020年ドラフト1位で日本ハムに入団。前年オフに有原航平投手が退団していたこともあり、1年目から即戦力として期待された。期待に応えて開幕ローテーション入りを果たし23登板、146回を投げて10勝9敗、防御率2.90をマークした。昨年までの3シーズンは全て規定投球回に到達し、主戦投手として確固たる地位を築いている。
以上のように、米球界挑戦のためにエースがチームを離れた後に出色の活躍を見せ、その後も長期にわたってチームを支えた投手は多く存在した。今季以降の日本ハムとオリックスで、新たなエースの座に名乗りを上げる投手は現れるだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)