中日、連敗止めるも「ベンチは切羽詰まっている」 専門家が分析…拭えぬ得点力不足
初回カリステが2ランを放つと7回は相手失策に乗じ決勝点、連敗を5で止める
■中日 3ー2 巨人(24日・東京ドーム)
中日は24日、敵地での巨人戦に3-2で勝利し、連敗を「5」で止めた。初回にカリステの2ランで先制すると、7回は相手失策に乗じ決勝点。2位に浮上したチームだが、野球評論家の新井宏昌氏は「課題の得点力不足はまだ解消できていない。7回の采配に表われていた」と指摘した。
幸先よく得点を奪った。初回に1死から田中が中前打で出塁すると、続くカリステが左翼ポール直撃の2ラン。チームとしては6日の広島戦(マツダ)以来の一発で、24イニングぶりの得点。さらに球団タイだった本塁打なし連続試合記録も「13」試合でストップした。
同点の7回には1死三塁の好機を作ると、ベンチは代打に大島を送る。ここで巨人の捕手・岸田の三塁牽制球が代走・尾田の足に直撃し、ボールが二塁ベース付近を転々とする間に決勝のホームを踏んだ。先発・涌井が6回2失点の力投を見せ、以降はリリーフ陣が無失点で締め勝利を掴んだ。
ラッキーな形で勝ち越し、連敗をストップした中日に新井氏は「投手陣が打ち込まれることもあったが、ここ数試合は立て直している。守り勝つ野球はできている」と評価。ただ、一方で決勝点を奪った7回の場面には「少しベンチが切羽詰まっているようにみえました」と、口にする。
同点に追いつかれた2回の守備「狭い東京ドームで打者走者に簡単に三塁を許した」
新井氏が注目したのは7回1死三塁の場面で、三走・尾田が見せた動きだった。巨人の内野陣が前進守備を敷くなか、代打・大島が初球をファウルするとバットに当たった瞬間にスタートを切った。その後もカウント2-1から低めのカットボールを空振りすると、再びスタートの構えでリードが大きくなり捕手からの牽制球を誘い得点に繋げた。
「いわゆるギャンブルスタート。仮に大島がライナーを打てば併殺でも仕方ないと腹をくくっている。なんとしてでも1点を奪いに行く作戦でした。実績ある大島なのでゴロを打てると信頼しているが、裏を返せば『そうまでしないと点が取れない』ということでしょう」
チームは開幕から22試合を終え11勝9敗2分の2位と、下馬評を覆す好スタートを見せている。ただ、チーム得点「54」は巨人に並びリーグワースト。課題だった得点力不足は解消されたとはいえない状況だ。この日、先発したベテラン・涌井の力投、リリーフでは斎藤、清水、マルティネスが開幕から無失点と好調をキープ。僅差のゲームを続ける投手陣の負担は日に日に増していく。
それだけに、新井氏は「2回に萩尾の三塁打で1点を失った場面も、打者走者を三進させてはいけない。狭い東京ドームで簡単に三塁を許した右翼・岡林の守備、中継プレーも中途半端で同点の犠飛に繋がった。細かなプレーだが、それが1点を防ぐことになる」と指摘。Aクラス、優勝争いを続けるためには“守り勝つ野球”を突き詰めることも必要になってくる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)