元阪神戦士が就任1年目で優勝監督に 日本人6人目の快挙…批判はねのけ人気も急上昇
元阪神・オリの平野恵一氏は中信兄弟の監督就任…後期優勝を成し遂げた
全6チームが前後期60試合ずつ戦う台湾プロ野球(CPBL)は、統一セブンイレブン・ライオンズ前期を制覇。後期は、前期3位だった中信兄弟が優勝を飾った。優勝へのマジックナンバー「1」で迎えた9月29日の楽天モンキーズ戦に8-5で勝ち、2022年後期以来2年ぶり19度目の半期優勝。今季からチームを率いる平野恵一監督は、半期優勝を果たした6人目の日本人監督となった。
台湾プロ野球では一昨年から、毎年プレーオフが実施されている。今季のように前後期の優勝チームが異なる場合、年間勝率が高い半期優勝チームが直接、台湾シリーズに進出する。年間勝率で下回った半期優勝チームは、1勝のアドバンテージをもって、前後期共に優勝を逃した4チーム中、勝率が最も高いチームと、台湾シリーズ進出をかけプレーオフに臨む。今季から古久保健二監督が率いる楽天モンキーズが、年間勝率3位でプレーオフに進出した。
中信兄弟と統一との年間勝率1位争いは、中信兄弟に軍配が上がった。10月7日の台鋼ホークス戦でサヨナラ勝ちし、年間勝率1位を確定。16度目の台湾シリーズ進出を決めた。オリックス、阪神で通算1260試合に出場した平野監督は「皆さんが台湾で一番のファンです。毎試合、熱いご声援ありがとうございます、皆さんのおかげです。去年、(年間)4位、悔しかったですよね。今年は1番ですよ!」と絶叫。今季、史上初めて100万人を突破し、リーグ断トツの本拠地観客動員数を記録した熱狂的ファンのサポートに感謝した。
中信兄弟は若手主体で臨んだ10月9日の楽天モンキーズ戦も、延長11回5-4で勝利。シーズン最終戦を飾った。後期は38勝22敗、勝率.633。年間120試合でも70勝(50敗)、勝率.583だった。年間70勝は林威助監督時代の2022年の69勝を上回り、球団歴代1位だった。平野監督は、勝率.496で5チーム中4位に終わった昨季との違いについて、春季キャンプ時に掲げた「3連敗以上しない。1週間5試合を3勝2敗で戦う」という目標を達成できたことを挙げた。
前期は3位も後期優勝…高まる「平野(ピンイエ)」人気
中信兄弟は人気チームゆえ、采配や選手起用にも厳しい声が飛ぶ。平野監督自身、5ゲーム差の3位に終わった前期は戦術面、特にバントの多用についてファンから批判を受けたが、自らメディアを通じて説明。後期に入り、選手が進塁打を打てるようになると、バントは減少。エンドランや盗塁を増やすなど戦術を調整し、打順も柔軟に組み替えた。
「平野イズム」の浸透で好結果が出てくると、選手の成長を第1に考える、指導への評価も上昇。ユニークでコミカルな一面も広く知られるようになり、「平野(ピンイエ)」人気は高まっている。
今季の中信兄弟は、投打のタイトルホルダーがいなかった。前身の兄弟エレファンツ時代を含め35年間の歴史で3回目のことで、過去の2回(1991年、1998年)は、いずれも年間最下位に終わったていた。年間1位の年としては異例で、この点も平野監督が掲げた「全員野球」による勝利の証明といえそうだ。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)