ロッテのドラ1は激戦のレギュラー争いを制するか 実力者揃いも…現有戦力が抱える泣き所

ロッテ・吉井理人監督【写真:小池義弘】
ロッテ・吉井理人監督【写真:小池義弘】

ロッテは強打の西川を1位指名…今季外野陣では岡大海らが躍動

 今年のドラフト会議で、ロッテは西川史礁外野手(青山学院大学)の交渉権を獲得した。強打の外野手として注目を集めていた西川は、熾烈な定位置争いに加わることになる。今季のロッテで活躍した主な外野手の成績と、セイバーメトリクスで用いられる各種の指標について紹介する。

 グレゴリー・ポランコ外野手は指名打者としての出場がメインだったが、外野手として守備に就いた試合数は2023年が11試合。2024年は35試合と3倍以上に増加した。チーム事情に応じて外野守備もこなしつつ、リーグ3位の23本塁打と随所で持ち前のパワーを発揮した。

 岡大海外野手はチーム最多の100試合で外野の守備に就き、7本塁打を記録。NPB新記録の8試合連続二塁打も樹立し、8月上旬までは打率ランキングでも上位に位置した。故障の影響で自身初の規定打席到達はならなかったが、打率.287、出塁率.373、OPS.806と、キャリア最高の1年を過ごした。

 和田康士朗外野手は主に代走・守備固め要員として出場を重ね、チームの外野手で2番目に多い88試合に出場。11盗塁を決めて失敗はゼロ、成功率は100%だった。角中勝也外野手は8月終了時点で打率.331。最終的な打率は.280だったが、出塁率.361、OPS.774をマークした。

 荻野貴司外野手は8月終了時点で打率.239だったが、9月は月間打率.447、出塁率.523をマーク。最終的な打率も.279と存在感を示した。故障の影響で2023年は1軍出場機会がなかった高部瑛斗外野手は今季、5月に1軍合流。76試合で打率.30010盗塁を記録した。

主にDHのポランコが23発、外野2位は岡の7発…不足している長打力

 藤原恭大選手外野手は開幕前の怪我でシーズン初出場が6月28日までずれ込んだが74試合で自己最高の打率.290、出塁率.364をマークした。2023年の現役ドラフトで西武から加入した愛斗外野手は主に試合終盤の守備固めを務めた。打撃面では打率.188と苦しんだ。昨季チーム2位の14本塁打を放った山口航輝外野手、2023年途中に加入して同年は打率.348をマークした石川慎吾外野手は打撃不振に陥った。

 岡、角中、藤原はいずれも出塁率.360以上、打率と出塁率の差を示す「IsoD」も.074以上と高水準だ。高部もIsoDこそ.048と低いものの、出塁率は.348だった。、チャンスメーカーとしての資質を示している選手が多く存在していることがわかる。本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示す「BABIP」も、この4人いずれも.330以上だった。この数字は脚力を武器とする選手が多いことを示すものにもなっている。

 一方で、長打率が.400を上回ったのはポランコ、岡、角中の3人。長打率から単打の影響を省いた、真の長打率を示すとされる「ISO」でもポランコ、岡、角中を除く選手は全て.100以下とやや低い数値だった。本塁打数はDHでの出場が多かったポランコが23本放ったが、それ以外の外野手で4本塁打以上を記録したのは岡だけだった。

 ポランコは、本塁打を1本放つのに必要な打数を示す「AB/HR」に関してもリーグ2位の18.09。岡のAB/HRも規定打席到達者に当てはめると11位相当、角中は63打席に1本のペース。一方で、荻野、高部、藤原はいずれも1本塁打につき100打席以上を要した。外野陣はチャンスメーク能力に優れた選手が多くいるが、長打のある選手が不足していることが浮かび上がってくる。それだけに、西川がプロの舞台でも評判通りの強打を発揮することができれば、外野手の中でもひときわ異彩を放つ存在となり得るはずだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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