低迷する西武に加入した“起爆剤” 育成から這い上がって昨季15発→移籍で開花させたい才能

西武のレアンドロ・セデーニョ【写真:小林靖】
西武のレアンドロ・セデーニョ【写真:小林靖】

西武に新加入したセデーニョは2023年7月と2024年9月に4試合連続本塁打を記録

 昨季はチーム打率、本塁打数ともにリーグワーストと得点力不足に苦しみ、最下位に沈んだ西武。課題を解決すべく、今オフに獲得したのがレアンドロ・セデーニョ内野手だ。オリックスでは育成から支配下登録へのスピード昇格を果たし、来日2年目の昨季は98試合で15本塁打をマーク。新天地でも中軸として大きな期待がかかる。

 セデーニョのように、パ・リーグ内で移籍を経験した外国人野手は直近10年間で4人。いずれも早い段階で日本球界に適応し、実績を評価されて加入した新チームでも期待通りの打棒を発揮している。セデーニョが彼らと比べて有利なのは、まだ26歳と若いことだ。成績を維持するにとどまらず、より向上させる可能性も大いにあるだろう。

 セデーニョは、2023年7月と2024年9月に4試合連続本塁打を記録しているように「固め打ち」が特徴だ。しかし、それは裏を返せば「好調が長続きしない」ということでもある。シーズン全体のOPSは2年連続で.700台だが、月別で見ると.700台を記録したことは1度もなく、調子の波の激しさがうかがえる。ここからは、月間OPSが.800以上だった2023年7月、2024年の3・4月と9月以降を「好調期」、それ以外を「不調期」とし、2つの期間の違いを探っていく。

 目立つのが、不調期のゴロ打球の多さだ。ゴロ割合、フライ割合のリーグ平均は、どちらも例年45%前後となる。好調期のセデーニョはフライ割合がリーグ平均を大きく上回り、ゴロ割合は平均を下回っているのに対し、不調期はゴロの割合が10ポイント近く上昇し、フライよりも多くなっていた。

セデーニョはマスコットと同じ“レオ”の愛称を持つスラッガー

 セデーニョは、打球に角度をつけることができればリーグ有数のパワーヒッターだ。昨季のフライ打球を放った際の長打率は.921と、リーグ2位の高い数値をマークしている。また、ランキングに挙がっている他の選手は日本ハム、ソフトバンクの所属であることにも注目したい。

 両球団のホーム球場と比較すると、オリックスの本拠地・京セラドームは左中間、右中間の広さや、フェンスの高さの関係でホームランが出にくい球場だ。そういった環境の中でもリーグ上位に入ったことは、セデーニョの優れたパワーを示している。

 フライ打球について、さらに掘り下げてみる。打球方向ごとのフライの長打率を見ると、レフト方向に引っ張った場合は好調期と不調期で大きな差は見られない。しかし、それ以外の方向では不調期の数字が極端に落ち込んでいる。不調期はフライを打ち上げても、捉えきれていないか、角度がつきすぎてアウトになる場合が多いと考えられる。引っ張り以外の、センターからライト方向へ鋭い打球を放っているかどうかは、セデーニョの調子を測るバロメーターの1つになるだろう。

 2000年代のアレックス・カブレラ内野手、2010年代のエルネスト・メヒア内野手と、西武にはベネズエラ出身選手が打線を牽引してきた歴史がある。セデーニョはその打棒をコンスタントに発揮し、偉大なホームランキングたちと肩を並べるような活躍を見せられるか。ファンに親しまれるマスコットと同じ“レオ”の愛称を持つスラッガーに要注目だ。

※文章、表中の数字はすべて2024年シーズン終了時点

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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