鷹戦力外→他球団が支配下オファーもDeNA育成に 27歳左腕が“茨の道”を選んだワケ

春季キャンプで練習するDeNA・笠谷俊介【写真:町田利衣】
春季キャンプで練習するDeNA・笠谷俊介【写真:町田利衣】

育成で加入した笠谷俊介は15日から沖縄・宜野湾のA班キャンプ合流

 控えめながら声を出し、時折笑顔がのぞく。「みんな楽しそうに毎日やっている。あまりそういうタイプじゃないので、殻を破るためにもそこに入っていきたいと思います」。DeNAに育成で新加入した笠谷俊介投手は、15日から沖縄・宜野湾のA班キャンプに合流した。昨季限りでソフトバンクを戦力外となり、支配下でのオファーもあった中で選択した新天地。「朝早くから動いている選手も多く、負けられないなという感じがあります」と刺激を受けている。

 昨季はフォームを崩して満足のいく球速も出ず、1軍登板なしに終わった。2軍では24登板で2勝3敗1セーブ、防御率2.82だったが「自分の中では好感触ではなかったので、1年通して『これだ』っていうものがなかったです」と低迷の原因を分析する。

 2014年ドラフト4位で大分商から入団後、10年間を過ごしたソフトバンクを戦力外となり「悲しい気持ちにはなりましたけど、まず10年間見てくれたことに感謝しました」と思いを口にした。

 その後、左腕の元には複数球団から連絡があった。中には支配下での誘いもあったというが、一番最初に電話がきたのがDeNAだった。「気持ちも伝わったし、チームのことも事細かく教えてくださった。僕が見ている中でチーム力があるなと感じたのがベイスターズで、その一員になりたいというのがあったので行く球団を選ばせていただきました」。

“師匠”和田毅さんと再会…かけられた「いい顔をしているな」の言葉

 とはいえ、背番号「199」からのスタートは険しい道に見える。それでも「確かに支配下のほうがチャンスはあると思うんですけど、結局は力がないと1軍では投げられないので。育成でも、行った球団で力があれば支配下になれるし、力がなければそれまでだと思っています。だからそこは気にしていないです」と力強かった。

 この日はソフトバンク時代から自主トレをともにし、“師匠”と慕う和田毅さんが宜野湾を訪れ再会を果たした。かけられた「いい顔をしているな」という言葉は、左腕が充実した日々を過ごしている証拠だろう。「もし僕が投げていれば和田さんは絶対にテレビで見てくれると思うので、どんどん出られるような選手になりたいです」と恩返しを誓った。

「これはチームで使えるなっていうピッチングができたらいいと思っています。そのためには結果が示すしかないので、焦らず怪我をしないように。まずは支配下になって、1軍で投げてリーグ優勝、日本一が最終目標です」と笠谷。信念を持って袖を通したベイスターズブルーのユニホームがよく似合っていた。

(町田利衣 / Rie Machida)

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