オリ・ドラ2が追いかける松井秀喜氏の背中 「雲の上の存在」も…描き続ける“再会”の夢

オリのドラ2・寺西は松井秀喜氏と同じ小中高出身
夢の実現に邁進する。オリックスのドラフト2位ルーキー・寺西成騎投手(星稜高、日体大)が小中高の先輩である松井秀喜氏と再会する日を楽しみに、プロ野球人としてのスタートを切った。
「憧れの舞台だったので、今までに味わったことのない感覚でした。満員の京セラドームで投げられたので、すごくよい時間でした」。オープン戦初登板となった3月8日。巨人戦での登板を終えた22歳右腕が爽やかな笑顔を浮かべた。
先発し、2回を3安打1失点。先頭の丸を4球目のストレートで三邪飛に打ち取った後、2番・中山の右前打をエドワード・オリバレス外野手がファンブルする間に二進を許した。続くキャベッジの右前打で1点を失ったが、岡本をスライダーで中飛に打ち取るなどして、最少失点で切り抜けた。2回も内野安打1本に抑えて予定通り、マウンドを降りた。3月1日の韓国・斗山との練習試合では1回を3安打4失点。打たせて取る投球ができなかったが、修正能力の高さをみせた。
森喜朗元首相や松井氏の出身地として知られる石川県根上町(現能美市)出身。「ゴジラ2世」と呼ばれた兄の建さんとともに小中高いずれも同じで、甲子園にも出場した。
「松井さんは、雲の上の存在です」と言う寺西は、入寮時に松井氏の著書「不動心」を持参した。「松井さんの本はずっと読んできました。少しでも近づけるように頑張りたいです」と目標に掲げる。
小6で対面…思い描く松井氏との再会
松井氏とは小学6年生時に、1度だけ会ったことがある。松井秀喜旗争奪大会の決勝戦で、優勝に導いた投手として面談した。「中学ではどんな取り組みをしたらいいか」を質問したが、うれしすぎて松井氏の答えは覚えていないという。
背番号「18」で出場した高校1年夏の甲子園。星稜が登場した開幕戦で松井氏が始球式を行ったが、直接会うことはなかった。「準優勝した大会後、林和成監督(当時)に届いた松井さんからの手紙に『同じ地元の寺西投手』と書いてくださっていて、覚えてくれているんだとうれしくなったことを覚えています」。
プロでの初戦は、奇しくも巨人戦。「たまに巨人にも顔を出されているようなので、東京ドームの巨人戦で投げる時にいらっしゃったら挨拶をしたいですね」と思いをはせる。
プロ野球選手になったことで、松井氏には一歩近付いた。しかし、「プロになったからこそ、余計にその差は感じます。フィールディングも含めて、まだまだやらなければならないことがいっぱいあります。課題の出ない試合はないので一つ一つ潰してしていきたいと思います」。いつか胸を張って会える日を目指し、腕を振る。
(北野正樹 / Masaki Kitano)

