41歳・平野佳寿の衰えぬ向上心「変わらないと」 “新球”習得で相乗効果「逆に良くなった」

オリックス・平野佳寿【写真:小林靖】
オリックス・平野佳寿【写真:小林靖】

平野佳寿が昨年10月から取り組むツーシーム

 新しい“変化球”で、自分も変わる。41歳、パ・リーグ最年長投手のオリックス・平野佳寿投手が、昨年末から取り組んだツーシームを武器に復活を目指している。「去年は僕もそうですが、チームも残念な結果だったんで、僕も変わらないとダメだと思っています」。チームだけでなく、投手としてもリーグ最年長となった右腕が真剣な表情で前を見据えた。

 平野は鳥羽高(京都)を経て京産大から2005年ドラフト希望枠で入団した。先発、抑えで活躍した後、2018年からメジャーに挑戦。2021年に古巣復帰し、チームの3連覇と日本一に貢献した。2023年には史上初の日米通算200セーブ&200ホールド、史上4人目の日米250セーブを達成した。

 昨季はコンディション不良が続き、12試合登板にとどまり、1勝1敗7セーブ1ホールド。NPB通算250セーブも、あと「1」で止まってしまった。キレの良いストレートと鋭く落ちるフォークを武器にしてきたが、プロ20年目で新球を手に入れた。

「今から160キロは出せませんが、変化球の数を増やしたりタイミングを外せるボールとかを投げることは、まだまだできます」と習得したのが、ツーシームだった。昨年10月から取り組んだが、ツーシームを選んだ理由は「思いつきです。今まで一度も投げたことがなかったんで投げてみようかと」と極めてシンプル。体に染み込ませようと、春季キャンプのキャッチボールでは一度もフォーシームを投げなかったというほど徹底した。

 成果はキャンプ中の実戦的な打撃練習で、すぐに表れた。バットを詰まらせるなど打者の反応は上々で、その後の実戦でも打たせて取る新しい投球パターンを披露している。ツーシームを投げることで心配されたフォークのキレも落ちることなく「逆に良くなったのかなという落ち方をしてくれている」と言うように、新球が“伝家の宝刀”のフォークもさらに磨くという相乗効果も生んだ。
 
 三振を奪う快投から、打たせて取るという幅広い投球ができることで、球数を減らすことも可能になってくる。「球数が減れば、次の日も投げることができると思います。どんどん打たせて取りたいですね」。選んだ今年の漢字は「変」。新球で投球内容を変え、新しい守護神に変身する。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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