新庄剛志と“サプライズ”の記憶… 現役選手にも受け継いでほしい「やるからには勝つ」
札幌の街中にあふれる「新庄剛志」の存在感
16年ぶりに札幌ドームでユニホームをまとう新庄剛志は、あの頃の空気まで運んできた。開幕カードが行われた札幌ドームは内も外も、期待感にあふれていた。日本ハムの低迷が続くからか、あるいは新型コロナウイルスという疫病の閉塞感がそうさせていたのか。久しく感じたことのない「ワクワク感」だった。
29日、日本ハムが西武と戦う札幌開幕戦を取材するため、札幌ドームへ足を運んだ。いまだ収まったとはいえないコロナ禍のため、人に話を聞ける環境も制限されている。それでも札幌ドームの内外に、いつか見たような熱気があった。
札幌ドームへ到着し、北側入場ゲートの前を歩くと、まだ正午過ぎにも関わらず並んでいる人が何人もいた。座席は全席指定なのだから、並ぶ必要はない。それでもシートを張り、そこに陣取らずにはいられないのだ。並び合わせた人と、日本ハムの今について語り合いたくて仕方がないのだ。
この試合の入場券は、実に2月25日には完売していた。席を間引いて販売しているため、発表された観客数は20868人。本来の満員からすれば半分ほどの入りだ。それでも、まとまった空席がみられないスタンドには迫力があった。その光景を久々に生みだしたのが、他でもない新庄剛志だ。
札幌の市街地には、指揮官が笑顔で親指と小指を立てた「ビッグボスポーズ」を見せるのぼりが林立、中心部のファッションビルには、キャンプ地入りした際にまとっていた、廃グラブを組み合わせた衣装がディスプレイされていた。まさに、街が“ジャック”されていた。新庄監督も札幌ドームで「ここに思い入れはめちゃくちゃあるよ」と口にする。同じことが、ファンの側からも言えるだろう。札幌ドームの新庄剛志は、いつ何をしでかすかわからない男だったからだ。