「プロ野球とビジネス」―MLBとNPBになぜ約8000億円の差が生まれるか
放映権料中心のMLBとチケット収入の割合が大きいNPB
4月25日、出勤前の平日朝7時台から開講している市民大学である丸の内朝大学「野球の魅力再発見」クラスの第3回講義が開催された。
講師を勤めたのは、パシフィックリーグマーケティング株式会社代表取締役の根岸友喜氏。「プロ野球とビジネス」のテーマのもと、プロ野球の収支と投資のモデルや、NPBとMLBの違いなどをデータを用いながら解説し、ビジネスパーソンを中心とした受講生が耳を傾けた。
現状、日本のプロ野球の興行ビジネスで出た収益は、選手年俸や育成や球場などの環境整備、地域連携などへ投資され、またその投資をもとに質の高い興行ビジネスを行うというサイクルになっている。球団の利益はいわゆるキャッシュリッチになるためのものではないという。
ただアメリカのMLBと日本のNPBを比較すると、1995年時点では両者の収益は同程度であったものの、近年MLBの市場規模は1兆円超とも言われている。それに対してNPBは現在約1800億円程度に留まっている。
市場規模の違いから、1試合あたりの平均観客動員にもMLBとNPBには大きな差があるかといえば実は、そうではない。MLBの1試合あたりの平均観客動員は約3万人に対し、NPBは約2.9万人。30球団と12球団という球団数の差はあるものの、平均観客動員のみで鑑みると、市場規模ほどの差は感じられない。
では、MLBとNPBの差はどこで生まれているのか。それは、アメリカのネット配信権を含む放映権料の高騰によるところが非常に大きい。全米のテレビ放映権料はこの10年ほどの期間で数千億円単位の高騰。ローカルテレビ放映権料も、同様に数千億円単位で高騰している現実がある。