大会7HRの逸材“元小学生”が感謝する叱咤 プロの登竜門で実感「人生変えてくれた」
小学生の夢舞台「NPBジュニア」…経験者が語る刺激と財産
貴重な経験は、未来への活力になる――。年の瀬の恒例行事となっている「NPB12球団ジュニアトーナメント」は、小学5、6年生がプロ野球選手と同じユニホームを着てプレーできる夢舞台。有望な選手たちが存分に力を発揮する場であるとともに、全国にはさらに上がいると痛感する瞬間でもある。NPB選手を多く輩出している“プロの登竜門”ともいえる大会は、子どもたちに大きな刺激を与え、さらなる成長を促す。
「人生を変えてくれた存在。ターニングポイントになりました」
昨年の大会に中日ドラゴンズジュニアの一員として出場した丹羽祐聖選手(中1)は、目を輝かせながら振り返る。チームの主将として、実に大会7本塁打をマーク。惜しくも決勝トーナメントに進むことはできなかったが、「精神的な部分が成長出来ました」と言い切る。セレクションを勝ち抜いたメンバーと過ごした3か月ほどの活動期間は濃密だった。
丹羽が現在所属する東海屈指の強豪「愛知尾州ボーイズ」には、中日ジュニア経験者が多く揃う。同学年の梅村全選手も、そのひとり。元プロら様々な指導者からアドバイスをもらえたことで、「自分の球を信じることが一番大事だなと思うようになりました」とうなずく。当時所属していた少年野球チームでも熱心に指導してもらっていたが、違う環境で新たな気づきを得た。
プレー以外でも学びがあったと、2人は口をそろえる。中日ジュニアでは毎週、野球道具を磨いているかを確認する習慣があったといい、丹羽は「グラブを磨いていなくて、怒られた時がありました……。道具の大切さも教えていただきました」と苦笑い。梅村は、サポートしてくれる保護者を見て「最初はただ野球を頑張ればいいと思っていましたが、親のありがたみを教わりました」と噛み締める。
東海屈指の強豪「愛知尾州ボーイズ」には5人の中日ジュニア経験者
2人の1学年先輩には、中日ジュニアで2021年に頂点に立った優勝メンバーが3人いる。愛知尾州ボーイズで副主将を務める山本寿希也選手は「日本一になって、活躍できたのは自分の中で自信になりました」と、さらなる飛躍の足がかりにした様子。一方で主将の小林大雅選手が印象に残っているのは、NPBジュニアのレベルの高さ。「自分と比にならない選手もいて、刺激になりました。とてもためになる経験ばかりでした」と思い起こした。
山本、小林の両選手に、同じく中日ジュニアで一緒に戦ったもう1人の副主将・朝倉陸選手を加えた仲良し3人組は現在、愛知尾州ボーイズの柱に成長。丹羽、梅村の頼もしい下級生の存在も大きく、11月末に行われた春季全国大会愛知西支部予選では大会4連覇を果たし、来春の全国大会出場を決めた。
たとえ勝っても負けても、これからの野球人生の大きな財産となるNPBジュニア。今年は12月26日に神宮球場と横浜スタジアムで開幕。28日までの3日間、“未来のプロ野球選手”たちが熱戦を繰り広げる。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)
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