補強資金をつぎ込んでも高まらない“新生ヤンキース”の評価。田中将大に掛かる大きな期待
田中の獲得で先発の枚数は揃ったが…
1つの時代が終わりを迎えたことは間違いない。田中将大投手(25)を獲得したヤンキースは、王者奪還を果たせるのだろうか。昨季限りで、史上最高の守護神マリアノ・リベラと、長らく先発ローテーションを支え続けてきたアンディ・ペティットが引退。ホルヘ・ポサダを含めて黄金期を支えてきた「コア4」は、デレク・ジーターしか残っていない。そのジーターも昨季はケガに泣かされるなど、衰えを隠せない。さらに、アレックス・ロドリゲスも薬物規定違反で今季は試合に出場できない。
今オフには大補強を敢行した。当初、“贅沢税”を回避するために選手の総年俸を規定額の1億8900万ドル(約193億円)に抑える方針とされていたが、田中の獲得で一気にオーバー。それでも、メディアや専門家の中ではレッドソックス、レイズに続く地区3位との予想が多く、2年連続でプレーオフ進出を逃すと見られている。名門には本当に厳しい戦いが待っているのか。田中の成績にも直結する“新星ヤンキース”の戦力を改めて分析してみたい。
まずは投手陣だ。弱点と見られていた先発ローテーションを強化するため、最大のミッションとされていた田中の獲得に成功した。CC・サバシア、黒田博樹、田中、イバン・ノバまでは確定しており、ここに負傷明けの有望株マイケル・ピネダが加われば、面白いメンバーが揃ったと言えるだろう。
ただ、昨年のサバシアは衰えを隠せず、黒田も終盤に失速した。後半戦で獅子奮迅の活躍を見せたノバはシーズンを通して稼働したことがなく、田中、ピネダは未知数だ。ポテンシャルは高いが、あまりにも不安要素が多い。レッドソックス、レイズのような計算できる投手陣ではなく、オリオールズと良い勝負だと言えるだろう。何にせよ、大金を投じた田中の出来が大きく作用することは間違いない。
ブルペンはもっと不安が多い。リベラの穴は昨季までセットアッパーを務めたデビッド・ロバートソンが埋める予定だが、偉大な前任者と同じ働きを求めるのはあまりにも酷だと言える。さらに、ロバートソンまでつなぐメンバーは、補強どころか弱体化した。左腕として貴重な役割を果たしていたブーン・ローガンが移籍。そして、何よりセットアッパーのロバートソンがいなくなるのは大きい。黒田や田中の勝ち星がいくつか消えてしまうことも覚悟する必要があるかもしれない。まだクローザーを補強する可能性も残されているが、専門家からの低評価もうなずける。