【小島啓民の目】圧倒的強さ見せたホークス アマ選手に伝えたい工藤監督、捕手の冷静さ
CSで際立った工藤采配
前回は「攻めて、攻めてアグレッシブ」にという内容をお伝えしましたが、今回はそれに反して、熱くなりすぎず、頭は冷静にというテーマで話をしたいと思います。
よく「エースと心中する」というチーム戦略を耳にします。明らかに球威が無くなり、コントロールも今一つという状態のエースをキャリアと信頼で使い続けることを指します。監督として一番難しい決断が投手の交代です。その中でも、エースの交代時期は、非常に気を使うものです。
パ・リーグのクライマックスシリーズ、最終ステージの福岡ソフトバンク対千葉ロッテの第1戦ですが、工藤監督は今シーズン最も信頼のおける13勝の武田を万全の状態で送りました。
武田はボールの走り、変化球のキレはまずまずでしたが、思うようにボールをコントロール出来ていませんでした。2対2のスコアで、二、三塁のピンチを背負った5回1死。工藤監督は、あっさり武田から千賀に交代を告げました。「初戦を何としても取りたい」という思いと「千賀なら三振が取れる」という計算で交代に踏み切ったと思います。ですが、投手心理が誰よりも分かる工藤監督なら、ペナントレースであれば「エースへの期待」を込めて続投させていたと思います。
武田の調子であればバットに当てられるとの判断したと思います。前述したピンチではバットに当てられると困るという状況で、裏を返せば三振しかないという場面でした。そこで、コントロールにはやや不安がありますが、スピードもあり、縦の変化が使える千賀を起用した。工藤監督は「一つも負けない」と強気のコメントをされていましたが、まさに勝ちにこだわった、極めて冷静な判断だったと思います。千賀は福浦に四球を与え、満塁としてしまいましたが、デスパイネ、クルーズを期待通り、連続三振に封じました。