問われる金本監督の手腕 遊撃・鳥谷の起用法が阪神の浮沈のカギに?

目指すべきは「ディフェンスの強化」と「現状維持以上の得点力」

 阪神にFAで入団した選手としては最大の成功を手にし、引退後も絶大な人気を誇ってきた金本知憲が今シーズンより指揮をとる。オープン戦は12球団トップの成績で戦い終え、ここ数年優勝に手が届かず悔しい思いをしてきたファンの期待もいよいよ高まっていることだろう。

 今オフの阪神の編成上の動きとしては、まずクローザーの呉昇桓と、主軸を打った外野手マット・マートンが退団した。一方で、2012年に阪神を離れ、MLBと四国アイランドリーグplusでプレーしてきた藤川球児が4年ぶりに復帰。また中日からベテラン左腕の高橋聡文を獲得しブルペンを補強。野手1名、投手2名の新外国人選手獲得も行った。

 キャンプでは、江越大賀、横田慎太郎、陽川尚将、高山俊ら若手野手が存在感を見せ、外国人選手とベテランに偏り気味だったレギュラーの座に挑む段階に到達した。金本新監督が4人のような若手をラインナップにいかに組み込み戦力にしていくかは、真っ先に注目が集まる判断だろう。今回はデータを見極め、より具体的な判断点について探っていきたい。

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金本新監督率いる阪神の課題

 昨シーズンの阪神は、得点はセ・リーグで最も少なく、失点は2番目に多かった。攻守ともに強みになっていなかったことになる。特に問題視すべきだったのはディフェンス面だ。「与四死球、奪三振、被本塁打がどの程度あったか」「フライやライナーなど、長打になりやすい危険な打球をどれだけ打たれたか」という、投手の責任範囲であることが明確な数字から投球の出来を評価する値tRA(True Runs Average)は悪く、また打球の処理状況などから野手の守備力を得点の形で表すUZR(Ultimate Zone Rating)も平均以下を意味するマイナスの値だった。

 攻撃面、得点の少なさも目を引くが、得点を生み出すために必要な安打や長打、四球などはある程度出ており(※1)、投球や守備に比べれば傷は浅いといえる。とはいっても他球団に対する強みといえるレベルにはなく、現状維持以上が求められる。

 整理すると、ディフェンスの強化を図りながら、現状維持以上の得点力をつくりだすことが、阪神の目指すべき課題といえる。

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