「日本はもっと野手の育成を工夫するべき」ドミニカ野球から日本球界への助言とは

UNPHU大学とU-Leagueの選手らとの集合写真【写真:波戸謙太、山本祥平】
UNPHU大学とU-Leagueの選手らとの集合写真【写真:波戸謙太、山本祥平】

ドミニカ共和国は幅広い世代の野球少年、青年が一緒にプレーしてMLBを目指す環境

 外務省Juntos!!中南米対日理解促進プログラムにて、日本の大学生および大学院生9名がドミニカ共和国の野球文化について学んだ。今回はプログラム内で視察したUNPHU大学とアカデミーの協力事業。さらにスポーツ庁に訪問した際にドミニカ共和国から預かった日本野球界に対するメッセージを報告する。

 ドミニカ共和国に文武両道を基本とし大学スポーツを実践しているペドロ・エンリケ・ウレーニャ大学(通称:UNPHU大学)がある。UNPHU大学は、1966年に設立されたドミニカ共和国で最も歴史のある私立大学だ。64の学部学科があり、修士課程や博士課程も取得できる学問分野の多岐にわたった総合大学である。スポーツ学部はないものの、教養科目として野球やラグビー、柔道などの科目を必ず1科目履修しないといけないルールがあり、大学としてもスポーツに大きな力を入れている。

 そのUNPHU大学野球部と連携した「U-League」と呼ばれる野球アカデミーがある。U-Leagueとは、青少年野球団体BRiCGアカデミーとUNPHU大学の協定により、野球選手の育成と教育を両立させることを目的に設立された。対象年齢は3歳~20歳で様々な年代の少年および青年が同じグラウンドで一緒に練習をする。

 日本人メンバーが練習に参加した際も、ウォーミングアップからノック、試合までも様々な年齢の選手が一緒にプレーをしていた。大学生が中学生や小学生に気軽に野球を教えている風景は、新鮮であり野球が上達する空気を感じた。

 しかし、日本では日本学生野球憲章によって高校生ならびに大学生は小学生や中学生との練習が禁じられている。そのため、ドミニカ共和国のような気軽に、なおかつ手軽に高校生および大学生と小学生・中学生が一緒になって野球をする環境がない。機会を作ることも可能だが、高野連の許可がいるなど敷居が高い。

 様々な年代の青年と少年が同じグラウンドで一緒に野球をするドミニカの野球文化。日頃から触れ合っているからこそ、長く野球を続けられるような環境がドミニカには整っている。日本のように各競技レベルへの接続への敷居が高くなく、上下関係に対する恐怖感も子ども達には一切にないだろう。

ドミニカ共和国スポーツ庁から日本の少年野球育成システムへの警笛と助言

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