打てば雰囲気一変、早くも高校通算51号の早実・清宮幸太郎に死角なし!?
早実・清宮の一発が秘める“力”とは
何をすれば抑えられるのか――。7月10日、八王子市民球場で行われた西東京大会2回戦、啓明学園戦で早稲田実業が登場した。高校2年生ながらすでに高校通算50号本塁打に達している清宮幸太郎。春先の練習試合からずっと見てきて、欠点がない打者だと感じてきた。日増しに凄みが増している清宮を見ようと会場には多くの人が詰めかけ、内野席はほぼ満員となっていた。
まず清宮の第1打席は無死一、二塁の場面でまわってきた。
啓明学園の先発・奈良井巧投手(3年)は右サイドから105キロ~110キロと速くない。まさに軟投派右腕。これでもかというぐらい遅い球で勝負する右腕である。
しかしストライクが入らず、清宮は1球も振ることなく、四球を選んだ。その後、工藤航輔(3年)の適時打や押し出し四球で2点を先制した早稲田実業。啓明学園は2回表、二死から7番荒井四海(1年)が緩いボールを思い切り引っ張り、左二塁打。そして8番米田勇大(1年)が右前適時打を放ち、1点差に迫る。
1点を返して、どっと沸く八王子市民球場。2回裏、早稲田実業は併殺でチャンスをつぶす。啓明学園の先発・奈良井が投じる遅いボールが曲者で、序盤は早実打線が苦しんでいた。啓明学園は1回表に2盗塁をしたり、併殺を決めたり、堅実な守備や積極的な走塁で上手く野球をこなすチームだ。守備もそこそこ堅いため、失策からの1点は難しく、奈良井の遅い球にはまってしまうと、早稲田実業はやや苦しい試合運びになるかと思われたが、それも清宮幸太郎の一振りで一気に情勢が変わった。