新型コロナの影響は少年野球にも… 筒香ら輩出した堺ビッグボーイズが直面する問題
堺ビッグボーイズの中学部監督・阪長氏に現状を聞く
レイズの筒香嘉智や西武の森友哉などトップクラスの選手を輩出した名門少年野球チームとして知られる堺ビッグボーイズ。近年は「勝利至上主義」を排除し、子供の将来を考える指導で注目を集めている。
毎年1月にはOBの筒香が子どもたちへメッセージを発信することもあり、最近では小学部、中学部合わせて200人もの選手を集めている。だが、全国で感染が拡大する新型コロナウイルスの影響は、堺ビッグボーイズをはじめとする少年野球の現場にも及んでいる。
昨年から堺ビッグボーイズ中学部の監督に就任した阪長友仁氏にチームの現状を聞いた。
――4月8日に緊急事態宣言が発出されました。少年野球も例外ではないのではないでしょうか?
阪長氏「2月末から3月19日までは、ボーイズリーグの連盟本部より活動自粛要請が来ていたため、チームとしての活動は中止していました。3月20日からは連盟の指示に従って対策を行った上で、参加希望者のみ参加の練習を行い、それまで活動が制限されていた子どもたちにとっては、貴重な体を動かす機会になっていました。しかし『対外試合なども行わないように』と通達があったため、練習だけにとどまっていました。チームの中でゲーム形式の練習をするなど、工夫をしていましたが、緊急事態宣言が出て、連盟からも通達があったため、それに従って今は全ての活動を停止しています」
――選手や保護者の反応はいかがでしたか?
「緊急事態宣言後は選手や保護者には会っていないので真意は確かめられませんが、活動できないことを非常に残念に思っていると思います。学校が休みになる中でも、貴重な運動の機会になっていましたから」
――今、懸念していることは?
「まず、子どもたちのことが心配ですね。いつ収束するか分からず、子どもたちとのコミュニケーションがなかなか取れないため、どのような心境でいるか知る手段も少ないですから。短期間で収束すればいいですが、長期間になってくれば様々な問題が生じることが予想されます。『野球離れ』が進む中で、子どもたちが野球をずっと好きでいてくれればいいのですが……」
――その他にも懸念は?
「経営面も心配です。これは堺ビッグボーイズとしてではなく、一般的な学校外の活動を業務として行っている組織の問題として捉えていただけるとありがたいのですが、少年野球チームの経済規模は小さいです。長引けば予算的なところで困るチームが出てくることが予想されます。仕方のないことかもしれませんが、活動しなければ月謝は返納しなければなりません。でも、固定費の支出は続きます。学習塾や水泳など他のスポーツ教室も同様の問題が発生してきていると思われますし、こうした経営の問題は、今後ますます深刻になっていくことでしょう」
――活動が休止となるにあたって、選手には課題やトレーニング方法を伝えたりもしているのでしょうか?
「2月末の1度目の自粛要請期間に資料を作成しました。緊急事態宣言が出て以降に、再度送付しました。今後、自粛が長引いた場合は別途YouTubeアップなどで動画なども送る予定にしています」。
――今後についてはどのように考えておられますか。
「連盟からの指示に従うしかないというのが正直なところですが、活動を少しでも早期に再開できることを祈っています」
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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