甲子園中止の“不遇の世代”、逆襲の可能性は? 「誰も勝者のいない世代だからこそ」
高校生特有の“伸びしろ”の持ち越し、有望な選手の大学流入も
新型コロナウイルス感染拡大の影響で戦後初の中止が決まった夏の甲子園。春の選抜もなく、今年の3年生は誰一人として甲子園の土を踏むことのないまま引退を迎える。春先から全員練習すらままならず、世代全体としてのレベルの低下が危惧されるが、意外にもスカウトや現場はそんな“不遇の世代”だからこそ、4年後に逆襲の可能性があるとみている。
あるスカウトは「今年のドラフトはどうしたって縮小傾向になるでしょう。我々も全然選手を見れていないし、一握りの逸材以外の素材型は指名しにくい。そもそもシーズン短縮では戦力外も通告しづらく、支配下枠に空きが生まれないこともあり得ます」と今秋ドラフトの見通しを語る。もともと今年は注目候補の少ない、いわゆる“不作年”だったというが、それでも春から夏にかけて実戦を重ね急成長するのが高校生の特徴。例年ならこの時期はそういった有力選手が各地に現れる頃だというが、「コロナ禍で試合や練習が激減した今年はそういった選手自体が生まれづらく、例えいたとしても真剣勝負の場を見れていない現状では指名には踏み切れない」と本音を明かす。
さらに、そういったネガティブな情報はすでに選手側にも伝わっているという。「プロ志望届自体、提出が激減するだろうと見ています。自分の実力を測りかねているこの状況では、本人に加えて指導者や親もなかなかプロヘは送り出しづらい。例年ならこのくらいの時期からスポーツ紙やドラフト雑誌には『上位候補』や『指名有力』などの文字が踊りますが、今年はそういったこともないですから」と懸念する。