【小島啓民の目】着実に進む野球界への「科学」導入 有効か否かは使い方次第?
科学を駆使せよ、ただし、とらわれすぎるな
こんにちは。小島啓民です。今回はスポーツ科学の観点から野球を考えていきたいと思います。プロのOBも大学、大学院に進み、学んでいる方も近年では増えています。スポーツ科学分野の進歩は、目覚しいものがあります。動作解析や統計の進歩は、技術習得、戦術において大きな影響を与えています。
一方、野球界においても、科学の導入は進んでいるものの他スポーツよりも進んでいるとは決して言えません。これは指導者の経験に基づいた指導体系が根強く残っていることも一つの要因であると言えます。
動作解析と聞けば大ごとのように聞こえますが、単に動画を撮影してフォームを分析するだけでも十分な動作解析と言えます。現在では、スマートフォンやタブレット端末で簡単に動画を撮影、編集することができますし、これを練習に駆使しない手はないはずです。実際の動作と自分の感覚のズレは、動画を見るだけで一目瞭然。今年のプロ野球のキャンプでもブルペン投球でコーチが持っていたりしているそうです。実践したら即座にチェック、更にデータを蓄積し、自分の変化を時系列で分析します。これだけで大きな進歩に繋がります。
最近では「ボールを遠くに飛ばすためには?」という問いに答えるべく、物理学者が様々な分析を行っています。
研究の中身を否定するつもりはありませんが、野球の競技特性、本質から見ても遠くに飛ばすことだけが目的ではありません。飛距離が100メートルでも150メールでも本塁打は本塁打。変わりはないわけで、何ら問題になりません。それよりも、どのようにしてヒットを打つかということの方が重要なのです。
科学者の言っていることは嘘ではありません。しかし、実戦の中では案外不要な部分が多いこともあります。そうは言っても、技術習得をする上では大切な知識となることは間違いありません。知っておけば良いというぐらいに留めて、活用すれば良いのではないでしょうか。