ダルビッシュがCY賞争いで見せた“底力”「四球を出すか出さないかは自分次第」
今季は63イニングで12四球と制球安定、才能あっての制球力なのか
■カブス 6-5 インディアンス(日本時間16日・シカゴ)
カブスのダルビッシュは15日(日本時間16日)のインディアンス戦で7回3失点の投球をこう自己分析した。「今日は相手を判断できないくらい、それほど僕は悪かった」。5本の二塁打を含む今季自己最多の9安打に納得はできていない。土壇場の9回に救援が同点2ランを浴びてリーグ単独トップの8勝目はついえたが、ダルビッシュの「底力」を感じさせる登板だった。
2回以降、毎回走者を背負った。「3、4四球となるともっと点を取られる」。2度あった3ボールカウントでも歩かせなかったダルビッシュは、3-3の同点7回1死二塁、ベンチからの申告敬遠で打者を歩かせた。これがなければ今季3度目の無四球だった。
今季10試合の登板で63回を投げ12四球。ここに思いがある。
昨年8月21日だった。シカゴでのジャイアンツ戦でダルビッシュは史上初の「5戦連続無四球と8奪三振以上」を成し遂げている。前半戦は安定を欠いた投球が続き与四球は「49」。しかし、後半はまるで別人だった。そこに水を向けるとダルビッシュは言った。
「コントロールって才能だと思ったんです。上原さんや岩隈さん、そして田中も天才なんだろうなって。俺にはそんなの無理だってずっと思っていたんです。でもね、こういうこともあるんだなって。自分でもすごく不思議に感じてます」
19年の後半戦13試合で四球を「7個」に激減させたダルビッシュが崇めた田中将大に聞かないわけにはいかない。その機会は早々に訪れた。シカゴでの発言から5日後、マリナーズ戦でシアトルに来たヤンキースの「天才」にこっそり当てた。即座に響いた地声に感情がこもる。
「知ってます?! 僕の楽天の1年目。“四球王”ですよ! 才能じゃないですよ。練習しましたから!!」
調べると、駒大苫小牧高からドラフト1位で入団し翌年に迎えたプロ1年目の07年、田中は28試合に登板してリーグワーストの「68」四球を献上していた。故人となった、時の野村克也監督のつぶやきが今、聞こえてくる――。
「努力を惜しまずにできることも才能」