6季ぶりリーグ制覇の早大 選手の能力を引き出した「高校野球流指導」

【後編:ポスター“裏話”はこちら】

就任1年目の高橋監督の指導の軸となった「シンプル・ベースボール」

 早稲田の杜に6季ぶりの栄冠が帰ってきた――。

 東京六大学野球の早大が、5月30日から行われた早慶戦で連勝。2012年春以来のリーグ制覇を、斎藤佑樹(現・日本ハム)らを擁した2008年秋以来となる勝ち点5の完全優勝で決めた。

 絶対的エースの有原航平(現日本ハム)、前主将の中村奨吾(現ロッテ)らが抜けた今シーズン。苦境を覆し、3年ぶりの優勝にたどり着いた裏には、就任1年目となった高橋広監督の「高校野球流指導」の効果があった。

 高橋監督は早大4年当時に新人監督を務め、卒業後の1977年に鳴門工(現鳴門渦潮)のコーチとなり、80年に監督に就任した。同校を甲子園に春夏8度導き、2002年春にセンバツ準V。昨夏は高校日本代表監督を務め、教え子にはロッテで長年活躍した里崎智也らがいる。高校野球界での「名将」といえる人材だった。

 昨年12月で38年間の指導を終え、今年1月から早大監督に就任。母校の復権のため、指導の軸となったのが「シンプル・ベースボール」だった。

「難しいことは私も分からないし、選手だって分からない。物事は『単純に』『シンプルに』考えるのが私のやり方です」

 高橋監督はこう語る。技術が完成されていない高校生世代での指導で裏打ちされた考え方だろう。それが、入学後に伸び悩んでいた2人の4年生への指導にマッチした。

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