25年前の4番打者が語る広島カープ優勝、そして“愛弟子”新井貴浩の魅力

「いい意味で予想当たらないから野球は面白い」

――鈴木誠也選手は大きく開花した年になりました。

「2012年のドラフトで、誠也は2位でしょ? 1位は高橋(大樹)だった。誠也より高橋の方が期待されていたわけですよね。去年から頭角を現してきたけど、今年は90打点以上、20本塁打以上、打率3割を超えるって、誰がこれを予想しました? どの評論家もしてないでしょ。だから、野球は面白い。いい意味で当たらない活躍があるのが面白いんですよね。本当にいい選手に成長しましたよ。来年これを続けられるかは本人次第だな」

――若手を使いながら育てた首脳陣の手腕もありますね。

「日本は指導者を育てるシステムが充実していない中、緒方(孝市)監督は、引退してから1度もユニフォームを脱がずに学ぶことができた。1軍の守備走塁コーチをしたり、打撃コーチをしたり。指導者として経験を積めたことは大きい。高(信二)ヘッドコーチが帰ってきて、コーチ陣はみんな同じ釜の飯を食った仲間になった。コミュニケーションをしっかり取れる仲間で、みんなが緒方監督を信頼している。優勝という目標に向かって、役割を全うするコーチ陣のベンチワークというかチームワーク。これも優勝の大きな要因の一つに付け加えたいですね」

――1991年以来の優勝に大いに沸く広島ですが、その25年前にリーグ優勝した時は、西田さんが4番打者でした。

「いや、その話にもよくなるんですけど、当時は小早川(毅彦)や江藤(智)も出始めだったし、外国人選手もアレンがいたけど、なかなか機能しなかった。その中で限られた資金でやっていたカープの苦肉の策っていうかな(笑)。1990年に初めて4番を打たせてもらった経験があるんですよ。それもあってか、翌年には80試合近くで4番を任されて、ホームラン数は少なくて打点はそこそこ、でも四死球は64で出塁率は4割を超えていた。“つなぐ4番”ですよ。

(絶対的な)4番がいないという中での選択肢。次につなげるっていう意識を続けた結果が優勝に結びついて、まずまずの達成感はあるんじゃないかな。当時は投手陣が非常によかったので、1点を取れば僅差でゲームを勝ちきることができたんですよ。今年のカープはぶっちぎりで優勝したけど、あの年は(中日)ドラゴンズが監督だった星野(仙一)さんが退団するんじゃないかって話になって、8月の終わりくらいから急に上がってきた。その中で3ゲーム差で勝ったんだけどね」

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