巨人の育成指名辞退から1年 2度目のドラフト待つ24歳外野手の今
“スカウト的視点”を持って気づけたこと、当初は反対した家族からも後押し
自分がいいプレーをしたら、思い切り自分を評価し、それを自信にする。悪いプレーが出たら、甘えることなく、何が原因で何が解決策かを考える。客観的に見ていいものはいいし、悪いものは悪い。「周りからしたら、ちょっと変わってるなって思われるかもしれないですけど」と笑うが、おかげでいろいろなことが見えてきた。
大学の時、同じ東海地区大学野球リーグに所属する中部学院大学の同学年に、現広島カープ2年目外野手の野間峻祥がいた。2014年ドラフトで野間が1位指名された当時は「あいつがなんでプロに行けるんだろう? 自分と何が違うんだろう?」と、違いが「全然分からなかった」という。だが、スカウト的視点を持てるようになった今は「ああいう部分だったっていうのが分かるようになりました」と話す。
わずか1年でも、選手として、人間として、大きく成長したことが伝わったのだろう。「1年だけ」という約束で打ち込ませてもらった独立リーグだったが、巨人の入団を辞退し、野球を諦めようか迷った時、「あそこまで行ったんだから頑張りなさい」と、強く後押ししてくれたのは両親であり、弟だった。家族の思いに支えられ、さらなるたくましさとプロ意識、自分に対するより厳しい目を身につけた松澤は、現在、四国アイランドリーグplus選抜チームのメンバーとして、宮崎フェニックスリーグに出場し、最後のアピールのために大暴れしている。
文集の年表に書いた通りに現実は進まなかったが、プロ野球選手という目標は手の届く範囲にある。「ちょっと遠回りしてますけど」と笑うが、大切なのは目標に到達すること。ちょっと遠回りした道のりで、たくさんの出会いと学びを得たのだから、むしろ歓迎すべき遠回りだったはずだ。
あれから1年。10月20日、今年もドラフト会議がやってくる。指名されるか否か。結果がどうであれ、独立リーグで過ごした2年が、松澤の人生に深みを与えたことは間違いない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count