香川を率いて10年、約20人をNPBへ輩出 元広島4番が魅せられた独立Lの意義
「人生の財は友なり」PL学園時代の恩師・中村順司氏の言葉を胸に…
又吉や角中のようにNPBで活躍する選手を数多く輩出することが「究極の目標」だが、そのためには四国ILそのもののレベルを引き上げていくことが重要だ。関東北信越地域にあるBCリーグが年々拡張し、選手の受け皿が広がる中で、今後は四国ILでも「編成部門を作っていかないと」と提言する。
「BCリーグも球団数が増え、アイランドリーグと人材の取り合いになってしまう。元NPB選手や外国人選手もかなりいるんですけど、育成という点から考えると、平均より足が速いとか、速い球を投げるとか、遠くまで打球を飛ばせるとか、そういう選手の数は以前より少なくなってきている。だから、発掘→育成→強化というプランを考えながら、人脈を駆使して、いい人材を見つけていかなければならない。そうしないと、トライアウトを受けに来る人数も減りかねないと思うんですよ。レベルが下がれば当然お客さんも来なくなってしまいますよ。
今や過去の話をするんじゃなくて、これから先を考えることが大事。例えば、中日や広島から育成選手が派遣されてプレーしている。ただ、独立リーグが預かれるのは育成選手だけで、支配下はダメ。例えば、支配下の選手でも、怪我から復帰する調整のために独立リーグに派遣するとか、修業させるとか、そういう交流ができるといいですよね。究極の理想論を言えば、NPBの球団と提携して傘下に入って3軍扱いにできればいい。ソフトバンクと巨人は3軍がありますけど、NPBの球団にとっても、今ある独立リーグのチームを傘下に入れて3軍にする方が金は掛からない。日本球界全体として、野球人口を減らさずに増やしていくためにも、協力して裾野を広げていくっていうのが大事だと思うんですよ」
今年もまた何人もの選手が香川の地から旅立っていく。10月20日のNPBドラフト会議で指名される選手、他チームで野球を続ける選手、あるいは野球人生に一つの区切りをつける選手。それぞれが思い思いの道を歩んでいくが、西田の下で培われた人間力は共通の財産だ。
西田は独立リーグの監督業を、こうも表現した。
「高校野球とか大学野球の延長かな? 高卒で入ってきた選手には、昔の高校野球の延長みたいな感覚でやる部分も必要だと思うんですよ。ただ彼らも20歳を超えたら、その辺の扱いはできるだけ気配りをしてあげたい。気を遣うんじゃなしにね。選手は『この監督は本当に熱いか』って見てる。僕も『何しとんやっ!』って言う方だけど、その中で、同じ目線に立って『今日はどうや?』ってコミュニケーションは取る。そういう一言が大事だと思うんです。頑固まではいかないかな。僕、結構頭はスマートな方なんですよ(笑)。ま、頑固オヤジ兼“卒業して他の道でも頑張ってほしい”と願う支援者。独立リーグは、そういうところなんですよ」
今年、四国ILは11月3日(関東開催)と11月12日(関西開催)にトライアウトを行う。ここからまた西田の教えを身につけ、NPBで活躍する人材が誕生するかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count