ファンと心を一つに― 本拠地で38回、ロッテ「勝利の名物儀式」誕生秘話

「ちょっと、待ってください」―、主将が発した言葉

 元々、昨年の2015年シーズンに球団側の提案を選手側が組む形で試験的に数試合、行った。ただ、過去にプロ野球ではやったことがない試みということもあり、チーム全体でみると戸惑いを感じさせる雰囲気があった。その感覚は受け取るスタンドのファンも感じ取ってしまっていたように思えた。

 継続するか、同じような趣旨ではあるものの、なにか新たなことに切り替えてチャレンジするか。意見は分かれた。「戸惑いながら、照れながら行っていてはファンも喜ばない。無理して続けるより、ここは一回、方法を考え直すのが手かもしれない」一人の球団職員が意見をした。

 一時は、その方向で会議はまとまりつつあった。その時、突如、鈴木が手を挙げた。

「ちょっと、待ってください」。会場にいた全員が主将に注目をした。静かに立ち上がるとキッパリと言った。

「続けましょう。続けたいです。せっかく、ファンとの方と一体になるように何かできないかと考えて試みたことを一年であっさりと止めてしまうのは、僕はどうしても嫌です。僕が率先して選手を連れて、中心になってやりますので、続けましょう」

 少しの沈黙が続いた。今度は球団職員が話し出した。

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