銀次と枡田…楽天と共に成長してきた2人 入団当時の2軍監督が明かす原点
銀次が持つ「周囲への影響力」
「次の年になったら、そのイメージがあるから、気持ちが内野に逃げる。そこから銀次との戦いでした。絶対にキャッチャーから外さなかった。『外野や内野の方がいい』とか、色んな意見があるのは知っていました。でも、頑として変えなかった。自分でもそう(内野にした方がいいと)思っていましたが。1軍でも気が引いてしまったら、この世界は終わり。それこそ、セカンドとか内野に行った時に、また逃げてしまう。『やりきってから次のポジションを与えよう』と、ずっと銀次にはキャッチャーをやらせていた。その辺がファームでやることだと、私は考えているんです」
銀次自身も、持ち前の「真面目」な性格でキャッチャーの練習を懸命にこなし、レベルアップを目指した。2009年オフに内野にコンバートされた銀次は、2010年にはイースタン・リーグで規定打席未満ながら打率.367のハイアベレージをマーク。12年から1軍に定着し、14年にはリーグ2位の打率.327を記録した。
「銀次の“商品価値”は、見方によっては打つだけかもしれない。ただ、その商品価値をプラスに出来るのは、周囲に与える影響。『一生懸命やったよな』とか、『一緒にやりたいな』とか。ファーストとしては長打が足りないし、ヒットを打つんだったら、もう少し足がほしい。ただ、周囲に対する影響力、信頼感がある。それが30歳を過ぎるともっと生きてくる」
銀次は今年2月で29歳となる。天才的なバッティングに加え、周囲に与える影響力は今後さらに大きくなってくるはずだ。
球団とともに成長を続けてきた2人の“歴史”を知る松井氏は、今でもその活躍を遠くから見守っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count