梅の木に宿る亡き根本氏の思い ホークス宮崎キャンプ誕生秘話

「不思議な縁」で誕生した施設、ホークスと宮崎を結んだ“ある会話”

 一輪、二輪と花を咲かせていく。ソフトバンクが宮崎キャンプを行う生目の杜運動公園。アイビースタジアムの一塁側内野スタンドの外。サブ球場との間には、1本の梅の木が植えられている。春季キャンプが始まる頃から花を咲かせ始める。キャンプ地の活況と、成長していく選手たちの姿を喜ぶかのように、日々、花を開かせていく。

 梅の木の根元。誰の目に止まることもなく、1つのプレートが、その地中に埋められている。「根本陸夫さんに感謝します」と刻まれたプレート。ダイエーホークスの代表取締役専務兼監督や球団社長を務め、99年に他界した故・根本陸夫への感謝を表すためのものだ。

 ソフトバンクホークスの前身、ダイエーホークスがこの地で宮崎キャンプをスタートさせたのは、03年秋のこと。今では土日ともなれば、2万、3万という多くのファンが訪れ、キャンプ期間中数十万人もの観衆が集まる、宮崎の季節の風物詩だ。その生目の杜運動公園は、12球団でもナンバーワンと言われる施設、利便性を誇る。

 メーン球場のアイビースタジム、それに隣接するようにサブ球場、室内練習場のはんぴドームがある。サブ球場の隣に特守などを行う多目的グラウンドA、その隣にランニングメニューを行う多目的グラウンドBが並ぶ。各施設がコンパクトにまとまり、その全てを徒歩で移動出来る。それでいて、A組、B組の全選手が同じ敷地内に一堂に介してキャンプを行える。選手の入れ替えだって容易に可能で、しかもファンは全選手を一度に見ることが出来る。これほどのキャンプ地は、そうそうあるものではない。

 この施設の生みの親が、他でもない根本である。

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