V経験の岩村明憲氏、侍4強敗退も「誇り」 MVPに敗戦の責任背負う名手選出
最も成長したのは「小林」 侍Jが集めた注目を「どう球界の発展につなげるか」
2013年に行われた第3回に続き、準決勝敗退という結果に終わった侍ジャパンだが、岩村氏は「前回よりも素晴らしい大会だった」と話す。
「2013年よりもチーム力があったね。投手陣の素晴らしさは言うまでもない。打線にしても、誰か1人が打つだけじゃなくて、日替わりでみんながヒーローになる力を持っていた。それが3年半をかけてチームとして積み上げてきた結果だと思うね。
大会中に成長した選手もいた。その代表がキャッチャーの小林だよね。キャッチングでもバッティングでも、戦前の予想を上回る活躍をした。彼も含めたみんなが、WBCでの経験を、この先どうやってつなげていくか。そこが大切。準決勝のアメリカ戦は、いろいろな意味で次につながる試合だったね」
WBC出場国の中には、イスラエルやオランダ、中国のように、野球が文化として浸透していない国もある。彼らはWBCという国際舞台で奮闘し、勝利することで、自国の子供たちに野球というスポーツの楽しさや素晴らしさを伝える役割について、事あるごとに触れていた。すでに野球が身近にある日本でも、侍ジャパンの奮闘で引きつけた子供たちの関心や注目を、競技人口の増加を含む野球界の発展につなげるべきだと岩村氏は話す。
「2013年から3年半かけて準備を進める中で、定期的に強化試合をしながら、侍ジャパンの認知度を高めることに成功した。次は、これをどうに野球人口拡大や野球界の発展につなげるか。
今回も世界一にはなれなかったけど、準決勝に進むまでに大きな注目を集めたし、子供たちの目も引きつけたと思う。これをどうやって手放さずに引き留めるか。どうやって子供たちに『将来は自分が侍ジャパンの一員になって世界一になるんだ』って思わせるか。それがNPBやコミッショナーオフィスをはじめとする日本球界の腕の見せどころじゃないかな」
4年後にやってくる第5回大会、そして3年後にやってくる東京五輪へ向けて、すでに新たなスタートは切られている。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count